第7話 聖剣神殿
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魔王を封印した勇者である聖剣使いのセイク様は、晩年をノースビレッジで過ごしました。セイク様を
そして、セイク様は亡くなる直前、聖剣を
かつて、魔王軍と一緒にノースビレッジを焼き払ったような蛮行はさせないために、考えたと言われています。勇者セイク様の願いを
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「被害が
あの時、
事前に、被害が出ていい
その後、身動きできなくなった魔物を、
なのに、
「魔法使いユピ様は自らの強大な力に恐怖し、勇者セイク様の
ソーズの言葉に、おもわずユピは額を手で押さえた。
「あいつ、私が
汚い魔物は
その後、
もしかして、当時から村ごと焼き払ったって言われていたのか。
「まあ、人の記録はうつろいやすいものですから」
「
馬小屋から神殿の扉に向かって歩くアドーの背中に尋ねる。
「あくまでも、人々が
アドーは返事をしながら神殿の扉を開けた。
扉の建付けが悪いのか、ギギギと
神殿の外壁は
魔法薬でも栽培しているのかと思いきや、駅前の商店でも売っていた野菜が実っている。
とても信仰を集めている
よく言っても、
「大したおもてなしもできませんが、お入りください」
アドーに促されて扉をくぐる。
講堂の奥に一つの両手剣を台座に刺さっているのが見える。
柄の先端がユピの視線の高さまである。
刃から漏れた魔力が周囲を漂い、銀色の光沢を生み出している。
「これは、まずいですね」
歩みを止めたアドーが両足の幅を広げて杖を構え、呪文を唱え始める。
背後から入って来たソーズが聖剣の一目みると、壁に掛けられていた剣を取った。
空中を漂っていた銀色の
集約した魔力が具象化して剣を生み出す。
聖剣の固有魔法である
「聖剣様、機嫌悪すぎ」
十一本目の
現れた
切っ先が講堂の入口で佇む三人に向けられている。
「硬化し受け止めよ」
アドーが魔法で三重の障壁を生み出すのと同時に、空中に漂っていた無数の
飛翔した
刃の中腹まで刺さった分霊剣を、ソーズが振り下ろした剣で叩き折っていく。
折られた
次々に聖剣から
暴風雨のような剣撃を防ごうと、アドーが障壁の補強を繰り返す。
「先生、チェンジ」
振り下ろした剣が折れたのを見たソーズが叫ぶ。
弟子の声を聞いたアドーが杖で床を叩く。
床から魔法陣が浮かび上がり、魔力で出来た鎖が空中に浮かぶ剣に巻き付く。
一瞬、地面に引っ張られて静止するが、鎖を引きちぎる。
「先生、準備完了」
「いや、私がやろう」
新しい剣に持ち替えて前に出ようとしたソーズをユピが杖で制した。
ユピは大きく息を吸い込み体内の魔力と空気を混ぜ合わせる。
「
講堂全体に響くように叫ぶ。
魔力がこもった空気が伝播し、飛翔していた
聖剣の周りに漂っていた銀色の光沢が吹き飛ばされる。
「
聖剣に一歩、近づく度に杖で床に叩く。
魔力の波動を
「今更、
聖剣の前に来ると、杖を高々と掲げる。
周囲の漂っていた魔力を杖の先端に集め、魔力の球体を作る。
球体は魔力を圧縮されながら膨張していく。
荷馬車を包みこめる大きさまで膨らむと、銀色の魔力光が講堂を照らし始める。
「太陽」
講堂から影を消きた様子を見たソーズが呟く。
球体に触れた
キーン、キーンと何度も聖剣が甲高い音を鳴し続ける。
「反省しろ。この
ユピが杖を振り下ろすと、魔力の球体が聖剣に叩きつけられた。
聖剣が球体に覆われて姿が見えなくなる。
壊れた車輪のようにギギギギと響く音だけが、聖剣の存在を証明している。
「戦いに飢えているなら、耐久訓練でもしていろ」
聖剣に向かって吐き捨てるように言う。
振り返ると尻もちをついたアドーに寄りそうソーズの姿を見えた。
「どこを負傷した」
「いえ。
弟子に支えられながら立ち上がったアドーが言った。
戦闘の余波で腰を抜かしたようだ。
「・・・聖剣の
額に
その隣にいるソーズが目を丸くしながらユピを見上げている。
「どうしたの」
「やっぱり、
満面の笑みを浮かべるソーズにユピは溜息をつきながら肩を落とした。
これから悠久を生きる君へ 宮島 久志 @MUKONOSOU
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