第2話
「さてと……どうする」
ノウとココアは『魚魚魚亭』に来ていた。
「Aランクの条件まで後二人……」
「だれかパーティに入ってくれそうな人はいたか?」
「いません!」
はーっと二人は溜息が零れる。
「くそっ!誰も誘いに乗ってくれない!」
パーティ結成後二人は街中を走り回っていた。
パーティメンバーを探すために。
声をかけては断られを繰り返し気づけば日は落ち、辺りは真っ暗闇に。
「どしてでしょうか?」
ココアは冷ややかな目でノウを見る。
「なんだよ……その目」
「いえ……なんでも」
「もしかして……俺が悪いのか」
「そんなことないよ……」
目をツーッとそらしながらココアは返事する。
「正直に言ってくれ……一応心当たりもあるんだ」
「はい!ノウが悪いと思います!」
にっこりと悪意を感じさせない笑顔を浮かべながら事実を突きつける。
「はう」
純粋な心は言葉の刃何よりも鋭くする。
目を背けていた周りから避けられているという嫌な考えが本当になってしまう。
ノウは、胸を抑えて椅子にもたれかかる。
「大丈夫ですか!」
ココアが顔を覗く。
「大丈夫……」
かすれた声で返事する。
「それならよかった!……でも、どうしてあんなに避けられているんですか?」
「昔の俺がやらかしまくったせいだろうな」
「何をやらかしたんですか?」
「……人の話遮って異界の話をしまくったりとか……」
小さな声で指をもじもじしながら話す。
「うわぁ」
ココアは自然と体を引く。
「物理的に引かないでくれよ!それにもう反省したから!」
ノウは勢いよく立ち上がった。
「ぷっ、ははは!」
「わ、笑ったな、心痛めてる俺のことを笑いやがったな酷い奴め!」
「はは、ごめんなさい。ノウが面白くって」
「そうか!ならまあいっか……いやちょっと待て」
「どうしたんですか?」
「ココアにも原因があるんじゃないか」
「へ?私に原因……?急にどうしたんですか」
「ぶつかり女」
ぼそりとノウは口にする。
「がっ、ガガガ」
動きを止めたココアの口から壊れた機械の音がなる。
「ココアの顔を見た瞬間全員が口にした単語……」
「あ、あ」
「ココア、君は見境なくぶつかるヤバい奴なのか?」
真剣な目でココア見る。
「あ、その、私は……仕方がなかったの!」
探偵に崖際まで追い詰められた犯人のように声を荒げる。
「うへぇ」
それにノウは、物理的に引く。
「物理的に引かないでよ!」
「私は早くAランクになりたかったの」
「それで訳の分からない呪いに頼ったのか」
「そう、それでいろんな人にぶつかっては断られてね……」
「だから、ぶつかり女って呼ばれていたのか……っていうか普通に声かけるだけでよかったんじゃないのか?」
「そうなんだけどね……誘った人みんな異界について話した途端、笑われて、バカにされて、断られたんだ」
俯きながらポツリと話す。
「大変だったな……でも俺は嬉しかったぜ!パーティに誘ってくれたこと」
ココアの肩を叩いて上を向かせる。
にっこりとノウは笑顔を見せる
「俺も異界について話すとよくバカにされた、けどあの時、異界を信じてるやつに初めて出会ってスゲー嬉しかった」
「だからありがとうココア、俺にぶつかってくれて」
「……私もノウがパーティに入ってくれて嬉しかったありがとう」
「よし一旦話を戻すか」
「仲間集め……かなり難しそうですね」
ココアは頭を捻る。
「そうだな……ただここで悩んでいたって仕方がない」
「そうですね!今できることをしましょう……そうだ!お互いの能力を把握しといた方がいいんじゃないですか」
「能力把握かいいな!それをやろう!」
「じゃあ私たちに丁度いい討伐クエスト受けましょう」
「わかった、そういえばココアはランクどれくらいなんだ」
「私ですか、私はBランクですよ」
「てなるとボア系がいいかな」
「いいと思います!」
「よし!じゃあ明日の朝またここで落ち合おう」
「わかりました……ところで気になったことがあって」
「なんだ」
「ノウはどんな魔法を使うんですか?」
「そうか、そういうのも共有しといた方がいいな」
「あ、別に言いたくなかったら言わなくていいですからね」
ココアは手を顔の前で振る。
「こういのはちゃんと共有しといた方がいいだろ」
「俺の魔法は【強化】フィジカルブーストの魔法だな」
「フィジカルブースト……だからあの時無傷で」
「ココアはどんな魔法なんだ?」
「私の魔法は【召喚】です!」
「召喚……面白そうな魔法だな!ワンコロでも召喚するのか!召喚してみてくれよ」
目を輝かせ前のめりでノウは話しだす。
「お、落ち着いて……ここで召喚するのは危ないから」
「たしかに……すまねえ興奮しちまって」
「大丈夫ですよ。私も初めて召喚した時は魔力が切れて倒れるまで召喚し続けたことがあったんで」
「ふぅーそうか。よかった。にしても明日が楽しみだ」
両腕をグーっと伸ばしてリラックスする。
「そうですね!明日は頑張りましょう」
♦︎
「朝だー!」
朝日が昇り始め腕を伸ばしたノウを照らす。
体全体で暖かさを感じる。
「元気ですねノウ」
「来たかココア」
小走りで向かってくるココアに挨拶を交わす。
「よし!じゃあ行くか!パーティ初めての戦闘
ワクワクしてた!」
その掛け声と同時に二人は駆け出す。
「ノウその前にギルドでクエストを受けないと」
ノウは何もないところで転ぶ。
「そうだった忘れてた……」
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