第3話 決別

 会社に行く必要も無く、家には居場所はない。元々、家には居場所は無かったが。だが、まだ私には別宅がある、愛人の待つ別宅が。家とは異なりドアを開けると熱い抱擁が待っていた。だが、状況を話すと女の顔色が変わってきた。そして、急にヒステリーを起こし、物を投げ出した。それが私の唯一の宝物である双眼鏡にぶつかった瞬間何かが切れてしまった。言い争い、いや罵り合いとなり、女は荷物をまとめ出て行こうとした。「渡したカード返せよ」と言うと、カードを投げつけ、一緒に封筒も叩きつけた。女が去って封筒を開けるとカード会社からの請求書。限度額いっぱいまで使ってやがる。現金はほぼ無い私にとってはブラックリスト入りは確実だ。早急にこのマンションを手放すしか無い。そして新たな住居と仕事を見つけないと。

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