第11話

彼女の旅立つ日、

彼女の乗る飛行機で、エンジントラブルがあった後、わずか7分で彼女は炎に包まれた。


そのニュースを聞いたのは、

オレが学校で、緊急放送を聞いた時だった。


自分の学校の留学するはずだった生徒が、飛行機の火災にあったのだ。


死亡者は、女子2名。

いずれもオーストリアに行くことになっていた2人だった。


内1名は、香音だった。


緊急集会だと呼ばれた時、

オレはイスから立ち上がれなかった。


頭が真っ白だ。

何も考えられたい。


体中の力がなくなり、

自分の意識のどこら辺に現実があるかも、分からなくなってしまった。


集会から生徒が皆戻ってきても、

放課後がきても、

オレは自分の席から立てない。


学校の先生が、オレに声をかけてたようだけど、

オレは彼女が何処にいったのかばかり考えていた。


気付くと、学校の先生が、オレの前に立っていた。


「お母さんから、電話がきたよ。

気をつけて帰ってくるようにって」

悲しそうな顔をしている先生を見て、オレと香音の噂が先生に届いていたのか?


なんとなくそう思ったけど、

それもどうでもよくて、

ただ何も考えたくなった。


力ない脚で無意識に歩いて、でも、事故もなく帰れた。



香音の家中の灯りがついてなかった。

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