第4話
7歳になった頃、
新たな二人のピアノの先生につき始めた。
ぼくの粘り強さと、成長の早さに、二人の先生が、注目し始めた。
近所で習ってた先生が、ぼくを手放したのは、先生がぼくに教える事は 教えきったからだ。
次の先生は、大学の教授と、もうひとりは東京に各週飛行機を乗り継いでいく処の教室だった。
ぼくは、その時まで、とにかくピアノ以外のものは、目に、耳に入ってこなかった。
ひたすら鍵盤に向かった。
8歳になった頃、隣りに誰か越してきたらしいけど、そんな事はぼくにはどうでもよくて、
ピアノに集中していた。
ある日、相変わらずピアノを弾いていると、
「さみしい音だね」
そう、何処からか聞こえた。
西側の窓を開くと、
窓と窓が向かい合ってて、
窓の向こう側に女の子がいた。
何処の建築家が造った窓の構造なんだ。
そう思ってると、
「何も感じない。
さみしいよ?音。」
ぼくはムッとした。
その子は目がキラキラしてて、
上品で、子供用のバイオリンを手にしていた。
(音楽をやる女の子だ。仲間だ。)
その子が、スパっと自分を切ったのだ。
毎日積み重ね、練習していたぼくに、思いもよらぬひと言。
ちらちら見ながら、
綺麗だけど、性格が合わなさそうだ…。
友達になりたくないような気がした。
何か、見透かされてる。
ぼくも、丁度
自分の音が、自分自身、
何のインスピレーションを感じられなくなっていた。
いわば、行き止まり。
「盗み聞きするなよ」
少々嫌だったけど、
ぼくはこの子に出会って、ぼく自身の音をやっと知ることになるのだ。
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