第2話

「高木、洋平です」


カツカツと黒板に丸っこい文字で自分の名前を書いた彼は、くるりとこちらに向き直り自己紹介をした


「好きなものは肉、豚の…焼いたのとか好きです。あと漫画も好きです」


簡単な紹介

焼いたのってなんだよ、と心の中でツッコむ


「あと、あっちにあるマンションに住んでます」


ピッと指した先は、俺の住んでいるマンションの方だった

あっちの方にはマンションなんてほとんどないから、もしかすると、うちのマンションに住んでいるのかもしれない


でも引っ越しなんて話してたかな?

疑問に思い、数日前の──意味もないのに夕飯のことまで思い出していると


「堀田くん!」


思考の海から引きあげられるように、先生の声が響いた

顔を向けると、機嫌が悪そうな表情。考えすぎていた


「高木くんは堀田くんと同じマンションなので、通学路を教えてあげてくださいね?」


不機嫌の圧を受けながら、俺は頷く

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ダイヤに踊る ぽこ☆たん @chemicalaffection

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