10.証拠を手に、始まる復讐

 翌朝、早朝に鈴木から電話が入る。


「おはようございます。すべて撮りましたよ。ホテルに入るところと、出るところもばっちりです。顔も車のナンバーも確認できます。相手の女性も、写真と映像にしっかり映っている。容姿は若い女性で……。」


 鈴木が言葉を濁す。彼は美咲の顔までは当然知らないだろうが、私が「親友が相手かもしれない」と話していたことを思い出しているのかもしれない。


「ありがとうございます。その映像や写真、すぐに見せてもらえますか?」


「はい。後ほど事務所でお待ちしています。」


 私は電話を切り、眠っているかもしれない子供たちを実家に任せたまま、自分もすぐに探偵事務所へ向かう準備を始める。冷静になれ、と何度も自分に言い聞かせながら。


(ここからが本番よ。もっと大量の証拠を集めて、圭介と美咲を完膚なきまでに追い詰めてやる。)


 怒りの炎が、私の心の中で勢いを増していた。

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