第19話
私はかつてサー・ガレンと呼ばれ、何度も生まれ変わりながらエリンを探し続けてきた者だ。
だが、今の私は誰なのかもわからない。ただ、疲れ果てた魂が、ぼろぼろの体に宿っているだけだ。何度も世界を渡り、何度も姿を変え、エリンを求めて歩いてきた。
彼女に会えない人生が続き、ついにその絆すら途絶えた。私は希望を失い、心は冷たい絶望に支配されている。もう次に生まれ変わることさえ諦めようとしていた。この果てしない輪廻に意味はない。エリン不在の世界で生き続ける理由が見つからないからだ。
そんな時、ある世界で噂を耳にした。大魔法使いがいるというのだ。その者は時間と空間を超え、運命すら操ると言われている。私は疲弊しきっていた。足は鉛のように重く、心は灰のように冷えていた。もう何も信じたくない、動きたくもないと思っていた。
大魔法使いがどれほどの力を持っていようと、エリンを取り戻せるはずがない――そう自分に言い聞かせ、次に生まれることをやめ、この魂を永遠の眠りに就かせようと決意していた。
だが、その噂が私の耳に届いた瞬間、微かな震えが胸を走った。もしや、もしもだ。その大魔法使いがエリンの行方を知っているとしたら? もし彼女がどこかで私を待っているとしたら? 絶望に沈んだ私の心に、かすかな光が差し込んだ。私は立ち止まった。疲れ果てた体を無理やり動かし、その噂の真偽を確かめに行くことを決めた。
これが最後の旅になるかもしれない。最後の希望かもしれない。それでもいい。エリンに会えないまま終わるより、わずかでも可能性に賭けてみたいと思った。
私は旅に出た。足を引きずり、息を切らしながら、大魔法使いが住むという遠くの山を目指した。道すがら、私は考える。エリン、お前は本当にどこかで私を待っているのか? それとも、これは私の愚かな執着が生んだ幻想にすぎないのか? 何度も生まれ変わり、何度も彼女を失ってきた私は、もう立ち直る力すら残っていない。それでも、もし大魔法使いが何か答えを持っているなら、もしエリンに再び会える可能性があるなら、私はそこへ辿り着かなければならない。
山のふもとに着いた時、私は膝をついた。体は限界を超え、息も絶え絶えだ。だが、心の中ではまだエリンの名を呼んでいる。「エリン…お前がどこかにいるなら、私を導いてくれ…」
大魔法使いに会うことが、私の最後の賭けだ。彼女を取り戻せるなら、私はどんな代償でも払うつもりだ。
だが、もしこれがまた空虚に終わるなら、私はもう次はない。この疲れ果てた魂を静かに閉じるだろう。エリン、お前がいない世界に、私はもう耐えられない。
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