第35話  第二次母性対戦 めぐりvsちはる

 めぐりが不敵な笑みを母にぶつける。


「私は今日あなたに勝つために生きてますから」


「あらぁー、セリフだけ聞くとラスボスよ? ラスボス系ヒロインだったの? めぐりちゃん」


 母さんはめぐりの圧に気押されず、のんびりとそう述べる。


「歩夢くんを好きでいることが私である意味ですからね」


「大きくでたわね」


 母さんは「うふふっ」と笑う。

 あんなに楽しそうな母さんを見たのは久しぶりだ。


「ちはる母様と歩夢くんの過ごした時間より私が歩夢くんのことを過ごした時間の方が断然長いですから当然です」


「そこは素直に認めちゃうわ」


 静かに頷く母さん。

 まぁめぐりは幼馴染だからな、過ごした時間は結果的には長くなったが。

 けれど、それ言うか、普通。

 今日のめぐり、なんかこえぇな。

 なんか道場で剣を持ってる時のめぐりみたいだ。


「敗北の味わい方を知ってますか?」


「あんまり知らないわ」


 母さんは呑気に首を傾げる。

 ぽつりと「あったかしら」とも呟いた。


「見せてあげますよ、ちはるお母様」


「是非とも教えて欲しいわ」


 何この最終決戦。

 俺は全くこの状況に追いつけない。


「歩夢くんをこれ以上苦しめちゃダメですよ?」


「あなたができるというならいつでも譲ってあげるわ」


 俺は「あのー」と手を上げる。

 すっかり蚊帳の外だったからやっと話に入れそうだ。


「なんの勝負にするんだ?」


「ちはるさん、料理勝負でどうですか?」


 めぐりは淡々とそう告げた。 

 どこからその自信がやってくるんだ、めぐり。


「あら、私に勝てると思っててるの? めぐりちゃん」 


「勝てますよ」


 めぐりは静かに微笑んだ。


「好きな男の子を落とすにはまず胃袋ですから」  


 勝負は一瞬でついた。

 本当は母さんの料理を食べる予定ではあった。

 しかし、そうはならなかった。

 なぜなら、めぐりの作った味噌汁を飲んだ瞬間、俺は泣いてしまったからだ。

 なぜか分からない。

 ただ、ただ、懐かしかった。


「歩夢くん、今日からこの先ずっと甘えるのはちはる母様じゃなくて、私にだよ?」


「えっ、あっ、うん」


 めぐりの目の圧がすごかった。


「これで歩夢くんはちはるさんのものではなく、私のものです」


 ふっとめぐりが鼻を鳴らす。

 少しドヤ顔にすら見える。


「歩夢ちゃんをここまで喜ばせたことないわ、私」


「私がこれで名実共に歩夢くんのママですね」


 めぐりはいつも通りの笑顔だった。


「私、親失格ね」


 母さんは項垂れていた。

 でも、笑顔ではあった。


「いいえ、ここまで育ててくれて本当にありがとうございました」 


 めぐりは母さんに頭をぺこりと下げる。


「歩夢くんを頼むわね」


「任されました」


 めぐりは手を静かに叩き、微笑を浮かべる。

 母さんは何か憑き物が取れたかのようなホッとした表情を浮かべていた。


「めぐりちゃん」


「はい、なんでしょう?」


 めぐりは首を傾げる。


「あなたの作った味噌汁を食べてみたいわ」


「いいですよ」


 母さんもめぐりの味噌汁を食べた時、泣いていた。

 俺も母さんもめぐりをすごいなぁと思うことしかできなかった。


◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆


ここまでお読みいただきありがとうございます。


というわけで、ちはるさんとめぐりちゃんのバトル回? めぐりちゃんの圧勝回でした。

 第3部が次回で終わります


もし、


めぐりちゃん大好き、かっこいい


めぐりちゃん、ラスボス系ヒロインだったの!


この話も素敵でした


と思ってくださいましたら、


♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。


レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。


次回は歩夢くんとめぐりちゃんのいちゃいちゃ回、かつ、第3部が終わります。


引き続きお楽しみくださいませ。


次回の公開日は6月2日6時頃です。

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