第3話
『閻魔無双 ~異世界で裁きの力を振るう~ 第3話:闇の祭壇』
ヤマトはカストラの街で手に入れた情報を頼りに、暗影教団の拠点へと向かった。教団の下級戦士が漏らした言葉――「冥界の力を持つ者」。その響きが、ヤマトの転生に何らかの意図があることを示唆していた。
「ふん、俺をこの世界に放り込んだ奴が絡んでるのか。面白くなってきたぞ」
拠点は街外れの森の奥、朽ちかけた神殿跡に隠されていた。ヤマトが近づくと、黒いローブの教団員たちが巡回しているのが見えた。だが、彼は隠れる気などなく、真っ直ぐ歩み寄った。
「おい、罪人ども。俺に用があるなら出てこい」
教団員たちが慌てて槍を構えるが、ヤマトの目が赤く輝いた瞬間、全員がその場に崩れ落ちた。「裁きの眼光」は数人程度では抗えない。
「弱すぎる。地獄の亡魂の方がまだ骨があったぞ」
神殿の中へ進むと、薄暗い通路の先に巨大な祭壇が現れた。中央には赤黒い水晶が浮かび、不気味な光を放っている。その周囲には鎖で繋がれた人々が横たわり、意識を失っていた。生贄だ。
「ほう、儀式か。魂を弄ぶような真似は、俺が一番嫌うことだ」
祭壇の前に立つ黒いローブの男が振り返った。顔はフードで隠れ、声だけが低く響く。
「お前が『冥界の者』か。予想より早く来たな。だが、ここでお前の力は我々のものとなる」
「俺の力? 笑わせるな。奪えるものなら奪ってみろ」
男が手を掲げると、水晶が激しく脈動し、ヤマトの足元から黒い霧が噴き出した。霧は彼の体を締め付け、動きを封じようとする。だが、ヤマトは鼻で笑った。
「こんな程度で俺を縛れると思うか?」
指を鳴らすと、「罪人の鎖」が霧を切り裂き、逆に男を縛り上げた。男が驚愕の声を上げる。
「何!? 冥界の拘束具だと!?」
「知ってるのか。なら話が早い。お前ら、俺をどうするつもりだった?」
男は苦しげに答えた。「我々は…『門』を再び開くために…冥界の力を必要としている。お前はその鍵だ…!」
「門?」
ヤマトが眼光を強めると、男はさらに白状した。「冥界とこの世界を繋ぐ門だ! お前が転生したのは偶然じゃない…誰かが仕組んだ!」
「誰だ?」
だが、その瞬間、水晶が爆発的な光を放ち、男の体が灰と化して消えた。自壊の魔法か。ヤマトは舌打ちした。
「逃げられたか。だが、鍵が俺だとすれば、放置はできんな」
祭壇の水晶が砕け散り、生贄たちが目を覚ました。彼らを解放しつつ、ヤマトは考える。冥界とこの世界を繋ぐ門、そして自分の転生を仕組んだ存在。全てが繋がり始めた。
外に出ると、森の奥から重々しい足音が近づいてきた。巨体を揺らし、赤い目を持つ魔獣が現れる。教団が放った刺客か。だが、ヤマトは動じず、ただ一瞥した。
「お前も罪人か。なら裁くまでだ」
眼光が魔獣を貫き、その場に倒れさせた。あまりにも呆気ない結末に、ヤマトは呟いた。
「次はお前らの本拠だ。覚悟しろ」
空には赤い月が不気味に輝き、遠くで黒い影が蠢いていた。裁きの日は、さらに近づいている。
**次回予告**: ヤマトは教団の本拠を目指すが、そこには冥界の力を知る謎の女が待ち受ける。門の真相と転生の目的が明らかに!? 裁きの鎖が新たな敵を縛る!
閻魔無双 @pefeik
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