第2話

『閻魔無双 ~異世界で裁きの力を振るう~ 第2話:教団の影』


ヤマトは村を後にし、盗賊が言及した「黒いローブの男」を追って街道を進んだ。エリドゥス大陸の中心に位置する交易都市「カストラ」へ向かう道だ。

「ふん、金で動くような輩を操る奴がいる。地獄でもよく見た構図だな」

赤い目で遠くを見据えながら歩を進める。彼の足取りは軽いが、その存在感は周囲の旅人さえも無意識に避けさせるほどだった。


カストラに着いたのは夕暮れ時。石畳の街路には商人や冒険者が行き交い、賑わいを見せていた。だが、ヤマトの目はすぐに異変を捉えた。街角で黒いローブをまとった男たちが、こそこそと何かを囁き合っている。

「見つけたか」

近づこうとした瞬間、ローブの男たちは群衆に紛れて姿を消した。ヤマトは舌打ちしつつ、近くの酒場に足を踏み入れた。情報収集にはこういう場所が手っ取り早い。


酒場の中は喧噪に満ちていた。冒険者たちが酒を煽り、吟遊詩人が歌を披露している。ヤマトがカウンターに座ると、店主が訝しげに声をかけてきた。

「お前、ガキのくせに随分落ち着いてるな。何か用か?」

「黒いローブの連中について知りたい。知ってることを話せ」

店主は目を細め、声を潜めた。「あんた、妙な奴だな。あいつらは『暗影教団』の連中だよ。最近、街で妙な噂が流れてる。生贄を集めてるって話だ」

「生贄?」

「ああ、行方不明者が増えてる。特に若い奴らがな。何かでかい儀式を企んでるらしいぜ」


その時、酒場の扉が勢いよく開いた。黒いローブをまとった集団が現れ、剣を手に持つ屈強な男を先頭にしていた。男はヤマトを一瞥し、哄笑した。

「お前が村で盗賊を潰したガキか。教団に楯突くなら、命はないと思え!」

周囲の客が慌てて逃げ出す中、ヤマトは平然と立ち上がった。

「ほう、俺を狙う気か。罪人を裁くのは俺の役目だ。お前らが先か?」


男が剣を振り下ろすが、ヤマトの目が赤く光り、剣が空中で止まった。「裁きの眼光」だ。男は膝をつき、歯を食いしばる。

「何!? この力は…!」

「黙れ。嘘は見抜ける。お前、教団の何者だ?」

男は抵抗するも、眼光に耐えきれず吐いた。「俺は教団の下級戦士…。お前を始末しろと上に命じられた…!」

「上? 誰だ?」

「知らねえ! 上層部は顔も見せねえ。ただ…『冥界の力を持つ者』を警戒しろって…」


ヤマトの眉が上がった。「冥界の力? 俺のことか。面白い」

指を鳴らすと、黒い鎖が男とローブの集団を縛り上げ、動きを封じた。酒場の客たちが呆然と見守る中、ヤマトは呟いた。

「教団が俺を知ってるなら、転生の裏に何かあるな。黒い影の正体、そろそろ暴いてやる」


外に出ると、夜空に不気味な赤い月が浮かんでいた。遠くで、黒いローブの男がヤマトを睨み、闇に消える。その背後には、さらに大きな影が揺らめいていた。

「裁きの日は近い。お前ら、全員まとめて地獄に送ってやる」

**次回予告**: ヤマトは教団の拠点を突き止め潜入を試みるが、そこには想像を超える巨大な陰謀が待ち受けていた。冥界の力の秘密とは? 新たな強敵が立ちはだかる!

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