第5話 旅人
オレンジ色の夕日が灯って
風を纏った旅人が来る
枯れ木の脇にちょうどよい木箱
帽子を取って腰を下ろす
秋はずいぶん進んだ
影はよく伸びる
世の中の喧騒はここまで届かず
光と風の仲睦まじき庭だった
異国の言葉が聞こえる
地図を広げて指をさす
お前も当てなき旅人か
星が出るころ工場の灯も消え
川のせせらぎが響くだけとなった
瞼も重い今夜はここに眠るとする
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