盗賊の正体とさらなる危機

 盗賊たちを捕縛した村人たちは、彼らの素性を探るため、長老の家へと運び込んだ。縄で縛られたまま座らされた盗賊のリーダーは、不敵な笑みを浮かべながらリリアナを見つめる。


「俺たちを捕まえて、どうするつもりだ?」


 長老は険しい表情で問いただした。


「お前たちはどこから来た? なぜ村を襲った?」


 しかし、盗賊のリーダーは鼻で笑い、肩をすくめた。


「ここで大人しく喋ると思うか?」


 その態度に怒った村人たちが詰め寄ろうとしたが、リリアナが手を挙げて制止した。彼女は盗賊のリーダーを冷静に見つめ、静かに告げた。


「なら、私が聞きましょう。……貴方たちは、どこから来たの?」


 その瞬間、リリアナの瞳が淡く光を帯びた。彼女の内なる魔力が、真実を暴く力を発動させる。盗賊のリーダーは息を呑み、目をそらそうとするが、彼女の視線から逃れられなかった。


「……俺たちは、ただの野盗じゃない」


 静かな声が漏れた。


「ある領主の命令で、この村を探っていたんだ」


 村人たちは息をのんだ。リリアナもまた、眉をひそめる。


「領主……?」


 盗賊のリーダーは渋々と口を開いた。


「この辺り一帯を治める貴族、ガルヴィス伯爵の配下だ。あんたらの村が妙に発展し始めたって噂を聞いてな……興味を持たれたんだよ」


 その名を聞いた村人たちは顔を見合わせ、不安げな表情を浮かべた。


「ガルヴィス伯爵……?」


 長老が険しい表情で呟く。


「この村に干渉してくるつもりなのか……?」


 リリアナは、ただの盗賊ではなく、もっと大きな勢力の影が動き始めていることを悟った。


「これは……思った以上に厄介なことになりそうね」

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