盗賊との対決

 盗賊たちが一斉に武器を抜き、村人たちに向かって襲いかかる。その場に緊張が走った。


「後ろに下がれ!」


 リリアナは素早く村人たちをかばいながら前に出た。彼女は両手を広げ、静かに呪文を唱え始める。


 盗賊の一人がナイフを振りかざしながら突っ込んできた。その瞬間、彼の足元に光の陣が浮かび上がる。


「な、なんだ!?」


 光が炸裂し、盗賊は弾かれるように地面に倒れ込んだ。リリアナの魔法による防御陣が作動したのだ。


「この女、ただの村人じゃない……!」


 盗賊たちは動揺しながらも武器を構え直す。リーダー格の男が鋭く命じた。


「魔法使いがいるなら、先に仕留めるぞ!」


 複数の盗賊が一斉にリリアナに向かって襲いかかった。しかし、リリアナは冷静に次の呪文を紡ぐ。


「——聖なる光よ、悪しき者たちを縛れ」


 彼女の手から放たれた光の鎖が盗賊たちの四肢を絡め取り、動きを封じた。彼らは地面に倒れ、身動きが取れなくなった。


「くそっ、離せ!」


「今のうちだ、縄を持ってこい!」


 村人たちはすぐに縄を用意し、盗賊たちを捕縛した。無事に盗賊たちを捕えたことで、村には安堵の空気が広がる。


 リーダーの盗賊は悔しそうにリリアナを睨みつけた。


「……てめえ、一体何者だ?」


 リリアナは静かに彼を見下ろし、はっきりと言った。


「私は、ただの流れ者です」


 そう言いながらも、村人たちの目には、彼女がただの者ではないことがはっきりと映っていた。

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