第6話

 








 とても緊張している。今にも心臓が分裂しそうだ。




 




 6年前から付き合いのあった知り合い。






 いや、もっと深い繋がり・・・いわば家族みたいなもんだったからな・・・






 お別れするとき、親と喧嘩中だったんだ。挨拶も出来ずに行ってしまったと会えることはたまらなく嬉しいのだが・・・嫌な予感しかしない







 よし、覚悟を決めるぞ!生里圭!お前ならできるはずだ!





「失礼します」




 ドアを開けるとそこでは…




「待ってたよ。圭ちゃん」




 と〜っても綺麗な笑顔の先生がいた。ただし目は1ミクロンも笑ってないことに注意してほしい。




 圭ちゃん。



 その呼び方をしてくる人はこの日本中では一人しかいないはずだ(な訳ない)





「霧山先生…いや。あの日、何も言えずに別れることになって本当にごめん!!」






 これは俺からのアドバイスだ。謝罪ってのはどれだけ恥を捨てられるかが肝心、というのが俺の自論である。




 

 それの行き着いたさきはスライディング土下座である。





 沙希は一瞬驚いたような表情を浮かべるが、すぐさま呆れた顔をした。



「まったく6年たってもふざけるのは変わらないのね・・・でも許すわ」


「良いのかよ、沙希姉」


「言い訳ないでしょ!今までどんな気持ちで待ってたのか圭ちゃんは分かる…?」




 そして沙希姉は痛いぐらい抱きしめてきた。




 最後かもしれない挨拶をすることができずに別れたら一生後悔してしまうからな・・・



 ・・・でも矛盾してない?許すって言われたのに何で今締め付けられてるの?



 と、というか苦しい!さらに抑えられたら意識が・・・!







 そしてなんとなく教室につながるドアのところから視線を感じて、みてみると人影があった。




 それは幼馴染だった




 でも、一瞬だけ般若のようにも見えた。



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