第4話



「すまんな、少し遅れてしまった。本当は間に合いたかったんだが…」




 と言いながら教室に入ってきたのは、パンツスーツを着こなした、はきはきとした口調のこれまた美人の先生だった。




「自己紹介がまだだったな。今年からこの学校に配属された霧山沙希きりやま さきだ。これから1年間よろしく頼む」




 そう言って教室中をぐるりと見回した。




 あれ、どこかで聞いたことがあるような名前だな・・・でもあの人は実家に住んでいたような・・・




 

偶然同じような名前だっただけか。あの人と会ったのも6年前になるし、さすがに覚えていることはないだろう。昔、ちゃんと別れを伝えたかったなと後悔している。





そうして俺と目が合うと驚いたような顔をして、すぐさま




「生里は放課後残るように」




え、もしかして本人だった!?というかむっちゃ目立ってますやん。なんでみんながいる前で俺を名指しするの!?。



 あ~もう、案の定、あいつ何者だよとか好奇の視線向けられちゃってるし・・・




 くそっ。仕方ない。




「分かりました」


「よろしい」




これから始まりそうな嫌な予感に頭を痛めた。






◇HR後




「ねぇ、君何やったん?」


前の席の奴が終わった途端話しかけてきた。




「先生入ってきて早々に呼び出し食らったら、そりゃあ気になるって話だよ」


「あ、あはは。俺も訳わかんなくて…。えっと…君は確か…」


「おう。中条巴瑠なかじょう ともるだ。俺のことは、巴瑠って呼んでくれ。」




前の席の巴瑠は髪が短く切り揃えられ、とても明るい雰囲気だ。不思議とチャラいという印象よりもやさしさのようなものが感じられた。




「分かったよ巴瑠。俺のことは圭って呼んでくれ」


「ありがとな圭。これからよろしく頼むわ」




2人は笑顔で握手した。そしてこの学校初めての友達ができた。






 幼馴染はそんな二人の様子をうらやましそうに見ていた。

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