第二章 ──ゆすげばいい──
「いい気味」
プリンセスは、屋根で放った。
それは、絵画だった。
家々が醜く焼けただれ、戦火に逃げ惑う人々が、虫けらのように踊り狂う。
醜く固まって焼け落ちれば、それは通りとなる。
エクセレンシア通りは、穏やかな朝焼けだった。
日時は映画で、厳しさは夕陽。
「あの桟橋で会いましょう」
高らかに声を張り、美しく空を飛ぶプリンセスを知る者などいない。
幻と成り果てて、記憶の彼方に閉じよう。
プリンセスを思う美男子がいた。戦いに敗れ、傷ついた剣士だった。つぶて同士の張り合いに負けても何ともないと思っていたプリンセスが、愛した相手だった。
プリンセスは、人を演じてみた。羽衣物語のようだった。
人の優しさに触れ、穏やかに日々を生きる。苦痛などへのかっぱとあくせく働いた。
その日常を閉じたのは、キリシタンだった。
そのキリシタンは毛織物を父の殺害で閉じたことが、気に入らなかったらしい。
「毛糸のロンリーを閉じたでしょう。こうも闇雲に働かされては、意味が無い。だから、クリスマスをしまいます」
雷に打たれたようだった。
プリンセスはプリンセスらしくなく取り乱した。
「や、やめて。危ないの、アレが。何って教徒よ。ロクシタンの教徒がシンボルと組んで、無意味な争いをやめろというの。あの子、解るでしょう? 私達が意味なの知っててヤニになれないなんて通すから、煙草を人間にするしかなくなって、煙草っていったらワールドじゃない。あなただって、世界を自由に使えなくなるのよ」
取り乱したプリンセスに、キリシタンは言った。
「意味が無い」
「果てなき栄光の彼方へ消え去れ」
天上の裁きを受けて、プリンセスは人間に舞い戻った。
祝福が落ちた。
もう、使えない。
ワンドが使えない。
あの絵画は魔法だったのに!!
プリンセスに一条の光が差し込んだ。
「ん?」
待てよ、絵画…
あっ、あるじゃない。
プリンセスは、戦場を使うことにした。
嫌味なインケンが集う闇だ。
闇から星をかじり取れば、ステルスによって王となる。
そうすれば、お父様になれる。
「私、お父様になるわ」
チラシが神話であることは、知る人ぞ知る話だった。
小五月蠅いカミが口を酸っぱくして告げる死の宣告…もとい、過払いを闇とするのなら、生き様は陽だった。
プリンセスは羊毛の分を使って、麗しい子羊となり、カミの元へ集った。
お優しいおじ様のほうではないの。おじ様は暗殺専用。
ふふっ。
柔らかいわね、エデンの羽根。
プリンセスは小汚いヤニになど、なりたくなかった。
同じ毛玉なら、もう少し、上等なものを求めるうちに、羽根のように軽いゴミと出会った。
ワイフだった。
「カチコチ鳴るエデンを止めてくれるなら、ほうびをやる」
そう急かされたプリンセスは、宿を集めた。
「鳥」
ワイフが言うので、プリンセスは名乗った。
「嫌味」
何だか解らないので、ゆすいだ。
「奥」
欲が飛ぶので、淫らになった。
「輝け」
命を張るように飛び立てば、鳥となる。
「あ──────」
プリンセスはワイモとの性行為で果てた。
この短剣を使えば、お父様は明けで滅ぶわ。
「ゆすげばいい」
プリンセスはひそひそ話を使って、皆に広めた。
解らなかったことが、自分の罪とならぬよう。
何故なら、皆が神なのだから。
いい加減、飽きたのよ。
ふてぶてしいお祭りに。
さあ、やめて、農民となるの。
あくせく働いて農家となり、ゴミになるの。
ゴミが出来たら、星空でダンスを踊るの。
あなただけが。
ヤゴ。
プリンセスは楽しいことを手放したくなかった。
皆で神になって溶け混じり、好きな時に好きな分だけ働くことをやめたいとは思わなかった。
それなのにヤゴは、
「蚊だから」
なんて言うものだから、
「滅して」
と、灰にしてやったのに、
「テキ」
と、言い出して、プリンセスを宿にしたから、
「だったら、エデンね」
と、条件をつけたら、
「のむ」
と、言って、ヤゴがのみになったのだもの。
こうなったら、
「ゆすげばいい」
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