第7話

「あと、この荷物持ってけよ。家から送ったろ?」


『そうそう!良かったーちゃんと届いてた!』


「てか送るなら寮に送れよな…なんで生徒会室宛なんだよ」


『あー部屋番号とか分かんなかったから、取り敢えず龍兄に届けば間違いないかなって♪』


「お前な…生徒会長はお荷物預かりセンターじゃないからな」




それと、と龍兄が最後に渡してくれた袋の中を確認すると、思わず声が上がった。



『あ♪わぁーい!』



取り出したそれは、紺色のブレザー。グレーのスラックスと合わせてみると、中々にスタイリッシュだ。


…前の学校のは渋い緑だったから、そんなに気に入ってなかったんだよな。


他に袋に入っていたのは、赤地に金の細いラインが斜めに入ったネクタイ。流石私立かな、此処には青に銀のラインのもあって好きな方を選べるらしい。


…青も格好良いかなって思ったけど、俺にはこっちのが似合うかなって。因みに龍兄も赤ね。



「じゃあなんかあったらいつでも俺んとこ来いよ」



ありがと、言って大荷物を抱えて、生徒会室を後にした。











…こうして見ると、やっぱ広い。




構内図を眺めてみると、校舎の大きさと庭の大きさ、そして寮の大きさにも改めて驚く。地図に従って少し歩くと、寮は分かり易くその存在をアピールしてくれていた。



…これまたステキな建物ですこと。



校舎に負けず劣らず立派なそのお屋敷(あくまで寮です)は、此方も壁は白色で、屋根は落ち着いた緑色。正面に見える入り口の背後には、背の高い棟が三つ並んでいるような格好だ。



――――――ウィン…



カードキーを通して、寮のエントランスに入る。まるでホテルのような広いロビーを抜けると、突き当たりの正面と左右にエレベーターがあった。それぞれのエレベーターの上には寮の名前と思われる名が筆記体で刻まれた金のプレートが掲げられていて、それと共に右のには白、正面のには紅、左のには紫の宝石が嵌まった蘭の花が彫り込まれている。



てことは…俺は右のやつだな。



白蘭寮へ向かうと思われる右のエレベーターに乗り込むと、ボタンは上からA、B、C、D、E、L、O。この寮は2階から6階が生徒の部屋になっていて、クラス毎に階が分かれているらしい。つまりは5クラスあるってこと。



そんなことを考えながら、Aのボタンを押した。



…てかLは1階のロビーだろうけど、その下階…Oってなんだろ。



暫くしてチン、と存外レトロな音が鳴り、最上階に着いた。Aクラスはラッキーだな、眺めが良いだろうから有り難い。


やはりホテルのような、長い廊下を歩いていくが…自分のキーの番号とそのへんのドアの番号を見る限り、俺の部屋はかなり奥みたい。



『…っと、此処か』



随分歩いて、一番奥の部屋番号とキーの番号がやっと一致した。



…えーっと、手続きとかしてたからもうこんな時間だし…部屋の人帰ってるよな。



ピンポーン。



取り敢えずインターホンを鳴らす。



……………。



ピンポーン。



…いないのか?




ピンポピンポピンポピンポ…(エンドレス連打)











――――――バンッッッ!!!




『…っうっせぇな誰だよ!?』




瞬間、凄まじい勢いでドアが開かれた。






………ちなみに外開きね?





「は?んだよ誰もいねぇじゃねぇか………って」








…降って来た不機嫌そうな声は、何故か聞き覚えがあって嫌な予感がする。んなことよりとにかく。




『…………いっっってぇーよ!!!!!』



痛い!痛ぇよ!!痛いってマジほんと無理無理死ぬよ俺の頭割れてない!?


ドアにやられたおでこを抑えて縮こまって動けなかったが、叫んで立ち上がりそいつを睨み上げた。が、一瞬の間の後に出た声は、声にならなかった。




『…っああ゛ーーー!!!!!!』




そこには…そこには…ってもうほんと頭痛い。物理的に頭痛いし、何だか急に病的にも頭痛い。頭痛が痛いって混乱するくらいに頭痛い。






「これはこれは、ようこそお嬢さん」





その悪戯な微笑がまた…


妙に色めいていて頭痛くなる。




『変態寝惚け最悪男ー!!』


「んだよそのセンスねぇネーミング」


『どーでも良いから!それよりなんでアンタがっ』


「なんでっつっても俺ん部屋だし。てか寧ろお前こそ何?あ、そんなに俺に会いたかった?」


『んな訳あるか!今日から俺もこの部屋なんだよっ』


「へぇ、じゃあ俺と同棲じゃん」


『同棲じゃねぇ同居だっ』



これ以上言ってもきりがないので、荷物重いから入れろっ、と取り敢えず部屋に乗り込んだ。

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