第11話 日本の温暖化
2025年8月5日、群馬県伊勢崎で、日本の最高気温41.8℃を記録した。
予断で話をするとそうでなかったとき適性や資質を疑われるから、気象予報士は、今年は平年より高い気温が続いているとコメントするだけであって、これから日本の気温がどう変化するか断定するような話はしない。
平年とはどういうことであろうか。
気象庁のホームページに、日本の年平均気温偏差(℃)というグラフが載っている。(2025年1月6日、更新)
1991年から2000年までの30年間の平均値を0℃の基準点としてその年年の偏差を0.01℃単位でプロットして記録したものである。
これが年平均気温となるものである。
グラフを一目見ると年々気温が上昇している傾向が読み取れるが、偏差であるからグラフは上下に振幅していて偏差も基準から0.84℃の範囲であるから、一日の中でも10℃以上の温度変化がある日常の肌感覚ではその重大性に気づきにくい。
0.01℃単位で温度を感じろと言われても無理な話である。
30年間での平均であり偏差を現したものであるから、当然、基準点より暑い年もあり、寒い年がある。
暑かった年は、12年あり、寒かった年は17年、プラスマイナス0の年が1回だ。
平均すると0℃となるらしい。
気候はその状態を維持しようとして二年暑い年が続いたら、年平均気温がマイナスになるようにバランスを取ってきた。
しかし、最初の10年間は振幅の幅は大きいが年々その振幅は小さくなっていて下方に振れる幅は小さくなっていく。簡単に言うと年々暑くなっているなという感じだ。
2017年に-0.05℃を記録した後、年平均気温は気候を安定させることを諦めたように上昇を続けている。
2020年、+0.65℃ を記録した後、
2021年、+0.61℃、
2022年、+0.60℃
とわずかに下方に振れるが、それは次なる温度上昇に備え
た踊り場的な停滞だった。
2023年、+1.29℃、
2024年、+1.48℃ と急上昇した。
今後の、2,3年間に更なる上昇変化があれば、温暖化への認識が一変するかもしれない。
だが、2℃以内の変化ではその重大性を感じることは一般の人は感じることができないであろう。
多くの気象学者は、今後地球の平均気温は上昇を続け、2100年頃には、4~4.5℃になると予想している。
さて、0.01℃単位の温度変化を一般の人にもわかるように説明するためにはインターフェースが必要である。
そこで、受験した人ならだれでも気にかけていた学力偏差値を用いて説明してみよう。
気温4℃上昇を、偏差値90に設定した。出来の悪い私には、気の遠くなるような数値だが、全国模試で5番だった人の偏差値が84だったということを聞いたので、あながち的外れではないと思う。
気温を偏差値に置き換えて説明してみよう。
偏差値50というのは、100人テストを受けた時にその成績は上から50番目だったということで全体の真ん中位の成績だったということです。
平均気温というのは30年間の平均です。
つまり、30回テストを受けて、偏差値42の時もあったが、偏差値56の時もあり、30回を平均すると結果は偏差値50だったということです。
27回目のテストのときに偏差値49だったが、それ以後のテストでは、
2018年、偏差値54、
2019年、偏差値56、
2020年、偏差値56、
2021年、偏差値56、
2022年、偏差値56 と安定してきて、その後、
2023年、偏差値63、
2024年、偏差値65 と急激に上昇している。
学業における話ならこんな喜ばしいことはないだろう。
しかし、これは気温の話なのだ。
基準となる30年間は、偏差値42~56で変化して平均偏差値50を保っていた気温が、ここ2年で、急激に上昇しているのだ。
2025年は、試金石になる。偏差値が45を出せば、一息付けるかもしれないが、火山の大噴火が起きない限り99%気温上昇の傾向は続くことになるだろう。
気温が、偏差値65で停滞したり、それ以上の偏差値を叩きだしたら、温暖化に対する人々の認識は激変するかもしれないと思っていた。
甘かった。
2025年の年平均気温は、2026年にならないとわからないが、2025年7月の平均気温は+2.89で
偏差値78 だ。
国立の難関医学部に楽に入学できる数値をたたき出したのだ。
今年は、2月頃より、4月並みとか、5月並みの気温が日本各地で出ていて、誰もが例年と比べてかなり暑いと感じているはずだ。でも例年とは過去の話だ。
現在の基準である年平均偏差を適用すると1989年以前は、記録が始まった時代までさかのぼっても、すべて偏差値50以下となる。
基準となる30年間は、それ以前と比べてとても暖かい期間だったのだ。それを嘲笑うかのように2023年以降気温は上昇してきた。2025年は更に気温の高いステージへの始まりになるのかもしれない。
前に示したように、2018年以降、気温が再びマイナスになる気配は見えない。つまり、来年以降はさらに酷暑になる可能性がある。
夏日、真夏日、猛暑日、酷暑日、未来に45℃以上の名称がつけられないことを願うばかりだ。
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