第10話 心の中に思い浮かべる平和の構図、同床異夢
トランプ2.0が、ロシアに圧力をかけ続けているが、ロシア側はこうした圧力を圧力と感じていない。ウィトコフ中東担当特使が、送られたが、良い結果は出ないであろう。
プーチン大統領はロシアの経済と軍事力が制裁に耐えられると確信しており、トランプ大統領の関税や制裁も決定打にはならない。
世界の小麦生産量の3割を占めるロシアなのだ、兵糧は尽きることがないし戦況も有利なのだ。
時間が経てば経つほどロシアの思い描いていた結果になる。
実際、ロシア経済は既存制裁下でも2兆ドル(約296.6兆円)規模を維持し、今年の成長率見通しは2.5%とされている(前年は4.3%)。
プーチン大統領は西側が和平条件を真剣に協議したことがないと感じているが、それはウクライナを無視した条件なので、西側としては受け入れるはずもないのだが、プーチン大魔王は、自分の要求が受け入れられるまで戦い続けるつもりなのだ。
トランプ大統領とは複数回電話でのやり取りがあったが、人誑しのプーチン大魔王は、その場しのぎの耳障りの良い返事をしたのであろう。
いつまでの戦争をやめようとしないプーチン大魔王にトランプ2.0は、彼は狂っていると怒りを露わにしたが、すべての失望は過度の期待からくると魔王らしい言葉を述べるにとどまった。
二人の考えている世界は、地上と月の世界ほどの差があるに違いない。トランプ2.0が、求婚者ならプーチン大魔王は、かぐや姫といったところか?
取引をしたがるセールスマンと暴力を後ろ盾とする暴力団の違いかもしれない。
プーチン大統領の要求には、NATOの東方拡大を止める法的保証、ウクライナの中立化と軍事力制限、ロシア語話者の保護、そして現在ロシアが占領している地域の承認などが含まれる。ただし、安全保障枠組みなど具体案については明らかにされていない。
プーチン大統領にとっては経済的損失よりも、これらの目標の方がはるかに重要であって、最終的にはキーウを手中に収めたがっているに違いない。
また、ロシアはNATOよりも弾薬や砲弾などの軍需生産で優位に立っているとおもっている。
そう思っているなら、北朝鮮から武器弾薬を輸入しているのはどういう悪意が隠されているのだろう。
歴史的に恩を仇で返すのが得意なロシアは、北朝鮮になにを仕掛けようとしているのだろう。今は、得意になっている金正恩ならず者王だが、ロシアが敗戦した暁には共同正犯として末路が待っている。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアが占領した領土の主権を一切認めないという立場を繰り返し表明してきたので4州からロシアが撤退するまで継戦することになる。
戦う意志さえ継続できれば、いずれロシアは引き上げることになるだろう。
世界一の軍隊を自負していた米国でさえ、ベトナムやアフガニスタンから引き揚げたのだから。
実際の戦況を見ると、ロシアは戦争開始以降、ウクライナ領の約5分の1を掌握しており、直近3か月でも1,415平方キロメートルを追加で占領した。
現在ロシアが支配している地域には、2014年に併合したクリミア半島を含め、ルハンスク州全域、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン州の70%以上、さらにハルキウ、スームィ、ドニプロペトロウシク州の一部が含まれる。
ロシアが優位に立っている今、4州を掌握した後もプーチン大統領は前線拡大に踏み切るかもしれない。「勝ち将棋鬼の如し」と例えられるようにウクライナの防衛線が崩壊すれば、ロシアがさらなる領土を狙って進軍を続けるだろう。NATOの一層のウクライナ支援が必要である。
将来のロシアの脅威に対抗するために防衛費5%枠を続けるより今、兄弟間の決着をつけさせる方が安く済む可能性がる。場合によっては、英、仏、独の国軍の兵士を解雇してウクライナを支援すべきであろう。
職を失った兵士は傭兵としてウクライナに赴くだろう。それならNATOが、参戦したことにならない。また、各国から来た兵士はドローン戦という近代戦争の戦い方を習得するであろう。現に、北朝鮮兵は近代戦を学びつつあり東アジアに波紋を投げかけている。
トランプ2.0が、どれだけ圧力をかけても、ウクライナとロシアの対立は続き、戦争は容易には終わらない。
ウクライナは事実上国土を切り取られロシアの軍隊が進軍してきているのだし、ロシアにしてみればロシア憲法が下院議会によって新しく書き換えられ、ロシア国内にウクライナの軍隊が居座っているというナラティブになってしまっているのだから。
トランプ2.0が、戦争を終結したいならロシアを敗戦に追い込み、大日本帝国憲法を書き換えたのと同様に、ロシア憲法を書き換えるしか方法がないのである。
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