第9話 兄ウクライナと次男ロシアの確執
ロシアのメジンスキー補佐官は、ウクライナ戦争について
「一方が年上で、もう一方が若い二人の兄弟が誰がより賢く重要かを巡って争っているようなものだ」と述べ、
「この争いは悲しいことに我々の間の不和を助長している。それこそが我々ができるだけ早く戦争を終結させたい理由だ」
と語った。言っていることは正しいが多分思い違いをしているのだろう。
不和の助長に拍車をかけたのは、間違いなくロシアの方で、停戦協議も上から目線だ。ロシアには、兄をめちゃくちゃに扱っても良いという文化があるのだろうか。
キエフ・ルーシ公国の歴史を見れば、ウクライナが兄で、離れていく兄を慕って、ロシアが足掻いているに過ぎない。独立を志した兄を快く見送るのが弟としての正しい態度であろう。
キエフ・ルーシ公国時代、モスクワは、寂れた一地域に過ぎなかった。モンゴル軍によって、キエフ・ルーシ公国はめちゃくちゃにされ、キエフ陥落後、落ち延びていった者たちは、南西部のハーリチ公国、ヴォルイニ公国を創設し100年間存続させた。
ウクライナ人は最初のウクライナ国家としている。
そのころのモスクワは、モンゴル人の支配下にあり国ではなかった。御主人様のモンゴルに犬のように首輪をつけられていた。もちろん比喩であるが、「タタールの軛」と言われ、モンゴル人に扱き使われた。
東スラブ民族としてウクライナ、ロシア、ベラルーシを一体化させたいと思っているプーチン大魔王は、歴史的にキーウが、キエフ・ルーシ公国の首都だったことに劣等感を持っているのだろう。ウクライナが独立してロシアのアイデンティティーが、不安定になったのだ。
日本に置き換えると、奈良、京都が独立国家になったようなものだ。政治の中心だった奈良、平安の歴史が他国の物になったら日本人のアイデンティティーは、どうなるであろうか。長らく日本の竜骨であった歴史がすっぽり抜けるのである。
ロシアが、自国の正当性、出自を、失わないための劣等感から仕掛けた戦争であると揶揄されても仕方がないであろう。
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