第3話 2月23日 主様・令和の小学5年生

言われるがまま、声の後について行く。

「香ばしい良い香りだ。これはなんじゃ?」

背の高い女が

「ミチザネ、その言葉遣いやめなさい。

まだ夢の続きでも見てるの?

お母さん、ミチザネが起きてからずっーと変なんだけど。」

台所からパンを運びながら、お母さんはチラリとカレンダーを見た。

「もうすぐ2月25日ね。」

テーブルにトーストでこんがり焼け食パンをおく。

「お姉ちゃん。シノ、大丈夫よ。

ミチザネは、朝ごはんを食べたら元に戻るわよ。」

「ミチザネは?」

目の前の背の高い女は、姉?

食パンを焼いてくれたのは、母か?

口が香りに惹かれていく。

言われるまま、四角い香りの良いものを口にした。

「サクッ」と良い音がする。

「美味しい。」

「ごっくん。」

脳内の記憶がクルクルまわり出す。

京の都の庭。筑紫野の荒地。

梅の木。桃梅。白梅。

そして映像と数字がクルクルまわり。

令和。小学5年生。

「ドーン」

令和に到来。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る