3-1話
「班長、記憶なくなってから変わったね~」
軍用車の中でたわいのない話をしていたら、前に座っているマホガニーがそうつぶやいた。
「記憶がなくなってるから普通は変わるものじゃない?」
「んまあ、そうなんだけどさ~?前の班長から記憶がなくなったらこういう人になるんだ~って。」
今の私は、昔の私とはかなり違っているらしい。昔の自分が気になって来る。
「前の私はどんな人だったの?」
「ん~。まあね?でも今のほうがいいよ、ねえ~?」
「まあ、そうだな。前の班長はなんというか、厳しい人だったからな。」
「厳しい、か。そうなんだ。」
マホガニーもグラーズも、二人して前の私についての話をはぐらかしてしゃべる。おそらく、前の私はいい人ではなかったのだろう。話題にあげたくないのか、二人は畳みかけるように私に言葉をぶつける。
「でも、丸くなったな班長。俺は今のほうがいい男だと思うぜ。」
「そう?ありがと、グラ。」
本当にたわいのない会話だ。ただ話をしているだけだが幸せだった。隣で座って本を読んでいるカミュも、時々視線をこちらに向けてくるのだ。
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