第4話

「姉ちゃんが帰ってきたよ」

「本当か?恵美が?」

「ああ、最初は顔も見たくないって言ってた。

でも線香をあげる姿を見て思ったんだ。

本当は仲直りしたかったんじゃないかって」

「俺だって謝りたいことがいっぱいある」

「きっと許してると思うし、大丈夫だと思う」

「あんたが生きているうちに謝りたかったんだと」

「そんなことを言っていたのか?そうなのか」

「そうだよ、会いたいって」

そんな最中、親父はこんなことを言い始めた。

「もう少しでよ、恵美の誕生日だろ?」

「たしか、そうだね」

「俺が、雪を降らせる」

「雪を?」

「そうだ、まだ雪が好きなまんまかね、

そりゃどか降りの雪じゃない、

しとしとと降る雨だ」

「姉ちゃん、そうだね、

LINEのアイコンも雪景色のまんまだ」

その直後にバーのマスターの声が聞こえる。

「もう間もなくですよ」


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