12
——とは言ったものの。
「どうすればいいんだろう……」
自転車で下校する生徒が次々に俺を抜かしていく。
……こんなんじゃいられない。
とにかく商店街まで向かおうと、ズンズン足を回す。
「——うわーん……!」
そんな俺を足止めするように、どこからか聞こえる泣く声。
公園で泣いている女の子が目に入る。
今はそれどころじゃない、と言いたいが。
……俺はイイヤツ、……なんだ!
「……大丈夫? ほら、ハンカチ」
見るに、その女の子は小学生くらいだった。
「……ぐすっ。……ううん、ハンカチ持ってる」
あ、そう。
「おうち帰れる?」
女の子はブンブンと首を横に振った。
「よーし。ほら手繋いでやるから、案内してくれ」
「……うん」
それきり、女の子はグッと腕を掴んで俺を引っ張っていった。
この子、さっきまで泣いてたよな?
案外元気で良かった……かも。
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