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掃除当番も終わり、“俺の居場所”に戻る。
こんな俺にも、そう言える場所ができた。
「——おーい、こんにちは!」
思わず肩がビクッとなる。
「……ああ、どうも。こんにちは——」
振り向くと、おばさんの顔がすぐ真隣にあってまた少し驚いた。
こっちに引っ越してきてからは、登下校で駅前の商店街を通る。
ここが、“俺の居場所”だ。
ここの人たちは、なんというか。
一言で言えば……、まぁいい人たちだ。
「今日は野菜買ってく? ダイコン安いけど」
おばさんの両手には、すでに極太のソレが携えてあった。
「……いや、今日は実家からたくさん届くので。いつもありがとうございます」
根っからのいい人だから、いつも断るときは申し訳なくなる。
「あら、それはいいわね。いっぱい食べてくれたら、おうちの人きっと喜んでくれるわよ。ハハハ!」
「あ、アハハ……。そうですね……」
バシバシと叩かれる背中。思わず咳が出そうだ。
「……じゃあまた。今度は買いにくるので」
「うん、また来てちょうだいね!」
やっぱり、ここの人たちはいい人に違いなかった。
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