第5話 古谷 みやび

私、古谷 みやびは昔、家族で、仲良く過ごしていた。

「みやびー?今日の夜ご飯は何がいい?」

「ええっとー、はんばーぐ!」

「ハンバーグね!任せなさい!」

「うん!おかあさんがんばれ〜!」

「はは!いつでもみやびは元気だなぁ!」

そう言ったのは、ソファーでゴロゴロとしていたお父さんだった。

「もぉ!あなた?いつまでもそうしてないで、手伝ってくれない?」

「げっ。りょ、了解しました〜。」

そうして、お父さんは諦めたように、手伝いを始めた。

私は、そんな日々がいつまでも続くと思っていた。


そんなある日、私に妹ができることを、お母さんに聞かされた。

「みやび。あなたはお姉ちゃんになるのよ〜?」

「お、お姉ちゃん?」

「そう、あなたに妹ができるの。」

「やったぁー!」

その日の私は機嫌が良かった。




そして、わずか1ヶ月後、私の妹が生まれた。

しかし、それを聞いて、駆けつけていたお父さんが途中で、信号無視の車に跳ねられてしまったらしい。

私は、それを聞いて、ひどく泣いていた。

___しかし、お母さんは私とは比べ物にならないほどの涙を流し、お母さんは、

立ち直れない状態になっていた。



そして、私が、小学生になった時、お母さんは、ふと、こう言った。

「みやび。頑張ってね。いってらっしゃい。」

私は、泣きそうになった。お母さんが、2ヶ月ぶりに、しゃべってくれたのだ。

私は、涙を拭い、笑顔で、

「いってきます!」

そうして、私は、学校に向かった。



ここまででは、まだ、よかった。

しかし、それからのことだった。

私は、学校で、いい点数が取れず、友達もできなかった。

お母さんに言われて、塾に通って見たが、塾に行っても、目に見えて成績は上がらなかった。

それから、家庭教師を雇った。

その人の説明は、分かりやすく、成績も少しずつだが、上がっていった。

しかし、家庭教師を雇って、およそ1ヶ月が過ぎようとしたころのことだった。

お父さんを引いた人が捕まったそうだった。

これで、お母さんも、少しは明るくなる。私はそう思っていた。

でも、それは大きな間違いだった。

そう。その人は、私の家庭教師だったのだ。

お母さんは、より一層怒りが増したようだった。

そして、家庭教師の契約が切れて、お母さんが勉強を教えてくれるようになった。

しかし、私は頭が悪く、成績が、また、少しずつ落ちていき、お母さんは、私に勉強をおしえてくれなくなった。



そして、中学1年生になった。

私は、お母さんにお願いして、塾に通った。

お母さんは、常に不機嫌で、お父さんが死んでから、お母さんの笑顔を見たことがなかった。

どうにかしようにも、何か違うことをしようとすると、お母さんは、

「早く勉強しなさい。」

というひと言をかけて、どこかへ行ってしまう。

私は、勉強机に向かい、勉強を始めるが、1時間も経たないうちに、集中が切れてしまう。

「勉強。やだなぁ」

「お姉ちゃん、そんなこと言ってると、また怒られちゃうよ?」

「なんでいんのよあんた。」

「妹なんだから、この家にいて当然でしょ?」

「そうじゃなくて。」

三葉は、ドアにもたれかかり、アップルティーを飲んでいた。

三葉は私より、頭がいい方だったので、あまりお母さんに怒られなかった。

「三葉はいいわよね?頭が良くって。」

「どうしたの急に。」

「いや、別に?それより、そろそろ戻って。」

「あーそうだったね、テスト期間だったね。」

「じゃ、頑張ってね〜」

そう言って、三葉は、私にチョコを投げた。

「うん。ありがとね。」

そうして、私はまた勉強机を向いて、勉強を始めた。




そして、テスト返却日。

点数は、306点。

周りには私より低い人がいて、安心していた。

それをお母さんに見せた。するとお母さんは小さな声で、言った。

「勉強してきなさい…。」

「え?」

「そんなところにたってないで、早く勉強してきなさい!」

私の目から、涙が溢れた。

しかし、お母さんは、テストを机に置いて、キッチンへ向かってしまった。

私は、駆け足で、部屋に入り、ベットに飛び込んだ。

「なんで?どうして?」

私はその日、ベットで大泣きした。

それからというもの、私はもっと高い点数を取って、お母さんに褒められるように、たくさん勉強した。

「お姉ちゃん?あんまり一生けんめいになりすぎないでね?」

「あなたに…」

「え?」

「あなたに、何がわかるのよ!」

「それは……。」

「何も言えないんでしょ?だったら!」

「何もわからないよ。わからないけど!」

「じゃあ黙っててよ!」

「それなら!なんで、なんでずっと、泣きながら、勉強してんのよ!」

「え…?」

私は、鏡を見た。涙が流れていた。

「お姉ちゃん。勉強するのは、悪いことじゃないし、むしろ、いいことだよ?でも!自分から進んでやるのと、嫌々やるのとは、大違いなんだよ!」

っ_______

「お姉ちゃんは、勉強して、お母さんを喜ばせたいんでしょ?」

「なんで、それを。」

「三葉は!お姉ちゃんのたった一人の妹なんだよ?わからないわけないでしょ!」

「っ!そう、だよね。ごめん。」

「うん。じゃあ、聞くよ?お姉ちゃんは、どうしたいの?」

「私は。私は!もっと勉強して、お母さんを笑わせたい!笑顔にしたい!」

「なら、ほら、涙拭いて!勉強勉強!」

「三葉は、どうしてそこまで、してくれるの?」

「お姉ちゃんの、妹だから。それ意外に理由って、必要?」

「ううん。三葉。ありがと!」

「妹として、必要なことをしただけだよ!けど、どういたしまして!」





そうして、およそ、3年が経ち、私は、16歳になり、高校生になった。

私は、友達ができたことがなく、友達ができるか不安だった。

しかし、同じクラスに、1人ぼっちの人がいた。

私は、無意識にその人、蜜璃屋 光のところ歩いていた。

私は、どうして、彼の元によったのかは、わからない。けど、、、

昔の自分と彼を比較してしまったのかもしれない。

「ねぇ、君」

私は、そう言って、彼に声をかけたのだった。_________





「ちょっとお姉ちゃん?そんなことしてないで、勉強したら?」

「あんたこそ、もうすぐ、中間テストなんじゃないの?」

「三葉は大丈夫だもんね〜」

「あっそ。」

「それで?誰に話してんの?」

「え…?」

「?」

「あれ、誰に話してたんだろう私。」

「え、こっわ、無自覚に、過去を喋っていた?これは、重症だぁ!」

「ちょっと!三葉やめて!」

「いやいや!これは、応急処置を!」

「三葉、怒るわよ。」

「あ、はい、す、すみませんでした。」

「いいから、早く自分の部屋に戻って。」

「えぇ〜!」

私は、三葉に鋭い視線を向ける。

「あ、はい。戻ります。」

「よろしい。」

「あ、お姉ちゃん。塾がんばってね!」

「……うん!」



それじゃあそろそろ、塾に行くの準備をしないといけないから。

バイバイ!またね!

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