第17話 竜閃指導

 レイさん、レンネさんと特訓について話し合い、3日が経った。この連日、授業が終わると学園の訓練場にてレイさんとの試合を行っている。互いに木剣で俺だけ盾を持っているのだが、開始数秒で地面に転がされては立ち上がりを何度も繰り返している。何度も盾で防御しているはずなのに、そのまま吹き飛ばされるし、その箇所を骨折するとかいうふざけたこともあった。

 それで特訓を続けられるのは回復魔法あってのことなのだが、それでも痛いものは痛い。しかし、その度にレイさんは


「これでも手加減しているんだ。この程度で音を上げているようじゃ、ラインフォル


 ト君に勝つことは夢のまた夢だよ。」


と言ってくる。まずまず能力値に差がありすぎるし、なんなら勝ちたいなんて言ってないです…と主張したいが、恐ろしいことにそんな時間すら与えてくれない。隙を見せた途端に倒れてる人間だろうと、容赦なく打ち込んでくるとか…レイさんはまともな師匠がいないのかと聞きたくなるレベルである。


「ふぅ…。そろそろレンネさんの時間が空くころだね。今日はここまでにするか


 ら、体の土汚れを軽く落としてから彼女のところに行こうか。」


「あ”、あ”い…」


絞り出すように返事をして、倒れた地面から力なく体を起こすと自分の体を見下ろした。学園の制服は戦闘向けの素材を使用したものであるため、着たまま特訓をやっているのだが、何度も倒れているうちに新品の輝きはどこかへ行ってしまっていた。対するレイさんの制服は綺麗なままで、一撃を入れることすら出来ていないという事実に溜め息が出そうになる。あー…休みたい。



 身だしなみを整えるとレイさんとともに訓練場を出た。放課後のレンネさんは率先して生徒会の仕事をしてくれているので、出来る限り時間を確保したい二人にはとても助かっていた。加えて、仕事終わりにカルマの所まで魔術の講義をしに来ていることから、さすがに今度謝罪とお礼をしようかと考えているくらいだ。その彼女は研究棟にある部の一つで立ち合いの仕事があるそうなので、レイさんと一緒に迎えに行くことになっていた。


「あ、もういるね。予定の時間より早かったみたいだ。急ごうか、カルマ君。」


研究棟から結構離れたところからレンネさんを見つけたレイさんは急ぐように言って、走り始めた。追って走れば、棟の入り口近くのベンチに腰掛けたレンネさんが見えた。


「申し訳ない、待たせてしまったかな?」


先に着いたレイさんが話しかけると、小さく首を振って答えてくる。


「大丈夫、そこまで待っていないから。」


「それなら良かったです。ここで話すのもなんですから図書館に移動しちゃいましょ


 うか。」


「いや、座って教えられることは無くなってきたし…今日からは実践しながら学ぶよ


 うにする。悪いけど、訓練場に戻るよ。」


レンネさんはそう言って、移動し始めた。…今日から、さらにハードなスケジュールになりそうだ。








 



 

 

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