第16話 特訓会議

 生徒会室での話が終わり、俺は今図書館に来ています。そして俺の座る席の左右にはレンネさんとレイさんがそれぞれ席についている。

 なぜこうなったのかを説明するには、会長と別れた直後まで遡る必要がある。俺とラインフォルトの実力差を縮めるための案としてに二人との特訓を提案された俺は、半ばダメ元で特訓をお願いした。するとレンネさんは空き時間の間だけ、レイさんに至っては、ほぼ付きっ切りで出来ることをやってくれるらしい。宛てに出来るのは現在、レイさんらだけなので頼もしい限りだ。

 ということで、まず特訓で何をするかについて話すために図書館にやってきたのである。ここだと必要な資料が揃っているので何かと都合がいいというのと、余所に話の内容が漏れにくいからおすすめなんだそうだ。


「まず最初に覚えていてほしいのが、シュルト君は1年生にしては相当高い実力を持


 っているということだね。入学試験で相手をしたから分かるけど、通常時の僕と渡


 り合えるほどの力を持っている…。正直、今のカルマくんでは勝つのは難しいどこ


 ろか、決闘として成立するかも怪しいくらいだと思っているよ。」


話し合いが始まって最初に出たのは、一番聞きたくない情報だった。


「…そんなのどうすればいいので?」


「…アスタリオン君が噂に聞くほどの能力を持っているなら死ぬ気でやってもどうに


 もならないと思うけど。いっそ開幕降参を視野に入れたほうがいいのかも。」


諦めを含んだ声でレイネさんが答えてくれた。その感じからしても、半分くらいは本気で言ってそうなのが伝わってくる。拒否されるかもと思いつつ、恐る恐るレイさんに聞く。


「レイさんの能力値ってどのくらいなんです?俺、あんまり噂とか聞いたことなく


 て…参考までに教えてもらってもいいですか?」


「カルマ君、僕は知られても影響がないから教えてあげるけど、基本的に学園内で能


 力値は秘密にしておいたほうがいい。生徒同士の対戦において、能力値の露見は大


 きく君の足を引っ張ることになってしまう。分かったかい?」


口元に苦笑いを浮かべながら、レイさんはそんなアドバイスをくれた。カルマの中では能力値をそこまで大事な情報の一つとして考えていなかったので、そのことを知れたのは大きい。感謝の気持ちを込めつつ、深く頷けば口元の苦笑が微笑に変わった。知ったばかりのものは、その重要度を確かめることを忘れないようにしようと心に刻んでいる間にレイさんは懐から学生証を取り出した。

 レイさんは手元のそれを少し弄るとこちらに差し出してくる。お礼をいいながら受け取ると早速、その能力値を確認した。


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  名:レイ 性:アスタリオン   Lv.47 必要経験値:4963


  種族=人:男 12歳


  【基礎能力】       【技能】

  魔力:340

  物理攻撃:282    ・剣術Lv.4 ・属性強化(火)Lv.3

  物理防御:170    ・遠視Lv.2 ・物理攻撃軽減Lv.3

  魔法攻撃:220     

  魔法防御:226    ・攻撃魔術:下位 ・攻撃魔術:中位

  敏捷性:249     ・回復魔術:下位 

              ・武神の加護:上位 ・矢避けの加護:下位

              

              ・限界超越リミットオーバー 


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「…へ?」


思わず、口から驚きの声が漏れ出た。基礎能力からして俺の5倍から10倍ほどもあり、スキルの数や練度は比べるまでもない。これが正常かと疑いつつ、レンネさんを見れば、驚きで声も出ないといった様子だった。


「今から基礎レベルを上げるのは時間が足りないから、持っているスキルの練度を上


 げることを目標にしよう。結構手荒に行くけど…覚悟はいいかい、カルマ君?」


少しも出来てませんと心の底から叫びたいところだが、こちらから頼んだ以上そうも言ってられない。しかし、確実にこれだけは言えるだろうな…多分俺、死んだわ。






 

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