第12話 学校案内
学園生活一日目。今日は初日ということで特に授業などはなく、校内の説明と案内を兼ねたオリエンテーションが行われている。最初は学園の左手側、訓練場や闘技場などの戦闘に関するエリアを巡りながら説明を受けた。話によれば授業や指導で主に使われるのが訓練場で、私的な決闘や月末の学生対抗戦で使われるのが闘技場らしい。
そして現在は、学園の右手側のエリアについての説明を受けているところだ。自分たちのクラスがある学生棟を通過し、右手の奥に行けば研究棟が存在している。研究棟は部活の部室が多く集まった感じの設備らしく、学園生徒主体の研究部屋が多く連なっている。
この研究部屋への参加は義務ではないが、生徒の半分ほどが部屋のどれかしらに参加しており、他半分ほどの生徒は武術系の活動に参加しているらしい。
「部屋ごとの研究内容を深く知れるだけではなく、そこで築かれた人脈を活用する
こともできるからね。既に上級生との繋がりがあるような生徒や何らかの事情が
ある人以外は躍起になって参加するんだ。」
という話を後日会ったレンネさんが教えてくれた。
研究棟の説明が終わると、次に向かったのは図書館だった。ここは学園の最奥にある講堂と学園の門の丁度中心ほどに位置している。図書館の1階は学園の全生徒が使用できるが、2階からは特定の生徒と教師しか利用できないらしい。そのため、1階の蔵書や並びについてだけ説明があった。
学校案内は図書館が最後らしく、説明が終わると自分たちのクラスに戻ることになった。学生棟に隣接した教師棟を通れば3組の教室に着く。教室に全員が戻ってきたところで、3組担当のエリス講師がやってきた。学園講師としては珍しい若い女性である彼女は、こちらを見渡して静かになったことを確認すると話を始める。
「本日の予定はこれで終了です。午後からは自由時間ですが、私としては研究室や指
南所の見学などを行うことをお勧めしときます。学外活動の加入申請は7日後ま
で受け付けているので、焦らずに決めるように…加入を決定したら生徒会まで届
け出ることー。わかりましたかー?では以上、かいさーん。」
結構ゆるっとした感じで終わったけど、講師があれでいいんだろうか…。
ほんのりとそんな思いがよぎるが、すぐに対象は学外活動に移った。俺としては、まず研究室の見学に行きたいところだが回る相手の候補がいない。初手の自己紹介で隣の子に
「初めまして、レディ。我が真名は
ける覚悟があるならばとくと聞くがいい…」
と言ってドン引きされた。新生活にテンション上がってロールプレイにいったが、呪いとか普通にある世界で、この名乗りは冗談扱いにすらならないのだ。イタイ奴で終わったほうがマシなレベルの腫物みたいになってしまい、結果誰とも話せずに放課後突入なので本当にどうすればいいのやら…
ダメ元でレンネさんのところに行こうかと考えていたときに教室の扉が開く。扉の先には開けた本人らしき黒い髪の女生徒が立っており、中の様子を伺っている。生徒が残っていることを確認すると教室全体に響き渡るほどの声量で質問をしてきた。
「この中にカルマという生徒はいるかしら?」
………へ?
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