第11話 能力計測

 自分の能力値を初めて見たのだが、なんというか…ぶっちゃけ微妙そうだった。測定のときに能力を確認していた講師の反応を窺っていたものの、せいぜい武器スキルの数に驚くくらいしか反応が無かったので俺の能力は一般の範囲内ということで確定である。

 少し、気落ちはしたが気持ちを切り替え、名前の横に書かれている前世の名前にについて聞いた。あれこれ聞いた結論は、どうやら真島剛という記述は俺にだけ見えているということだった。これも転生者だからなのだろう…が、そんな事実よりできることなら高い基礎能力や希少なスキルが欲しかったと思うのが人の性である。

 

 計測部屋から出ると、近くの講師から出来上がった学生証を手渡される。これは 

<全てを記す大典>を元に作った魔道具でもあるらしく、学生の証としてだけでなく名前の証明や自身の能力値、スキルを確認できる機能も搭載されている。正式名称を<自らを示す手記>と呼ぶそうで、本人以外の使用は制限される機能もついた便利アイテムだ。こういうネーミング、とても良い。中二心がくすぐられるというものだ。

 ほかの3組生徒を待つ間に、自分の持つスキルの詳細を確認する。どこのクラスも30名構成なので、俺の後に計測するのは27名。その人たち全員の計測は20分もかからずに終わると、明日の授業日程について最後に一言、二言ほど話をされて解散になる。とりあえず学園の門を目指しつつ、時間を確認すれば予定より早く終わっている。思いがけず、時間ができてしまい…さてこの後どうしようか、と考えながら歩く。

 そのまましばらくすると門と校舎の中央辺りに図書館があるのを見つけた。近寄って受付に確認してみれば、学生証があれば利用は可能とのことなので時間潰しに入るみることにする。本棚をひと通り巡って目当ての本を見つけると、それを持って館内に並べられた席につく。


「やっぱり、魔術についての本は置いてるよなー。とりあえず一番簡単そうなものを選んだが、どういうものか…。」


ポツリと呟くと手にもつ本のページをめくり始める。選んだ本の題名は『一から始める魔術の入門書 著:シリンダ・ナレア』という、俺待望の魔術に関して書かれた指南書のようなものだ。本の初めにあった、魔力に関しての説明はフル無視して、「魔術の形態と区分」という部分から読む。



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【魔術の形態と区分、】

 魔術とは、魔力に各属性を与えて外界に作用させるスキルの一つである。スキルとしては起動型に分類され、使用者が意識しない限りは能力が発動することはない。起動時には魔術名を口に出す方法が最も基礎的とされるが、慣れ親しんだものであれば無口頭で起動可能な術者も一定数確認されている。

 一般的に下位、中位、上位の三つの位に区分され、回復や攻撃などの種類がある。それぞれの習得には、個人の適正や資質が顕著に影響してくる。例えば下位魔術は、どのような者でも各属性のいずれか一つ以上は起動できる程の習得難易度。中位になると適正が最も高い属性魔術を一つ、起動するのが関の山程度の者が2,30人にひとり存在するほどである。


【魔術の習得に関して】

 魔術の習得で一番簡単とされているのは、魔力を使った起動を反復する方法である。まず、前提として魔力による身体強化時と同じように魔力を循環させることが必要になる。次に起動させたい位の魔術を選び、何度も詠唱する。この時に注意するのは、起動できていないくても魔力は減っているということで魔力欠乏で死亡した例もあるため気を払うように。

 練度が一定を越えてスキルとして表示されるようになれば習得となる。練度は確認できず、一度に積み重なる量には個人差がある。また、前述の通り適正がない場合は練度が習得ラインを越えることができない為、見切りをつける機会を見逃さないように。

 以下、各位で存在が確認されている魔術の例を記述していく。

【下位】 ファイアーボール ウォーターブレス ウィンド アーススピアー

【中位】 ファイアーウェイブ ファイアーウォール ウォーターベール………


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そこまで読んだところで予定した時間に近づいていることに気づいた。理解のために同じ箇所を何度か読み返すうちに、あっという間に時間が経っていたようだ。

 急いで本を元の場所に戻すと図書館を出て、門のほうまで急ぐ。途中何人かの講師に声をかけられたが、急ぐことを伝えてその場を後にさせてもらった。


 

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