第10話 入学式典(下)
『まず初めに、我らが学び舎の学園長ロック・バンドマンからご挨拶があります。』
司会の言葉とともに講堂の演台に上がったのは見た感じ60近いといったところの男性だった。しかしよく見ればその見た目に反して、背筋はしっかりと伸びており、どこか厳格な雰囲気を感じられる。講堂内の視線が自然と集まると学園長は軽く腰を折り、挨拶を始める。
「この式典に出席している生徒諸君に、まずはお祝いの言葉を申し上げる。入学おめ
でとう。今日この日をもって、諸君らは我が学び舎の一員として迎え入れられた。
周りに座るライバルたちと時に競い、時に協力して自らの望む未来に向けて成長し
ていってほしい。
りゅうせん》>
を始めとする逸材たちが入学を果たしている。加えてかの有名な〖予言の年〗でも
あることだ。彼らに並ぶとはいかなくとも自身のために努力を怠らず、謙遜を忘れ
ず、自身を見失わぬことを肝に銘じておいてほしい。では最後にこの言葉とともに
挨拶を締めくくろう。祝福を《アロン》!」
挨拶を終えたバンドマンは一礼し、演台を降りていく。完全に演台を降りきったのち、司会が話し出す。
『ありがとうございました学園長。この後は自クラスに移動したのち、年間の予定の
確認と能力測定、学園証の作成を受けていただきます。扉の近くの者から移動する
ようにしてください。』
その言葉に、続々と移動を開始する人々。それに続くようにレンネも席を立ち、指定されている教室に向かっていった。その一方で、カルマは学園長の挨拶で聞いた言葉について座ったままに考え込んでいる。
その内容は、(竜閃…なんていい響きだ。俺も同じように素晴らしい二つ名を今から考えておきたいな)とかいう内容である。そんなどうでもいいことを考えているうちに、気がつけば講堂内に残っているのはカルマのみになっていたが本人は講師に呼び掛けられるまでついぞ気が付かなかった。
「うう…学園生活が始まってもいないのに、注意を受けてしまった。」
現在、カルマは3組が集合する教室へと向かっている。当たり前だが、移動の開始が大幅に遅れたので周りに生徒の姿は一切見当たらない。こんなことだと初日から悪い意味で目立ってしまいそうである。
それもこれも学園長が心くすぐる二つ名を言い出すから悪いんじゃないかと思うが、そんなことを談判するわけにもいかないので気持ちを切り替えつつ道を歩く。しばらくすれば、目的の教室が見えた。一応気を遣って後方の扉から教室に入ると案の定、年間予定の説明はほとんど終わってしまっていた。
そろりと席について、残りの説明に耳を傾けるが聞けたのは定期試験と進級試験についてだけだった。説明が終了してしばらくすると、講師が案内に来る。どうやら能力測定(?)というものの順番が来たらしいので、その講師に3組全員でついていくと案内されたのは研究棟の一室だった。番号順に計測があるのだが、俺の番号は3番だったのでそこまで待つことはなく、計測を受ける。
少し広めの計測部屋に入ると、中には4mほどの大きさの鏡があった。なんでもこの鏡、魔道具らしい。名前は<
この二つを使って、可視化された俺の能力は以下のものだった。
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名:カルマ 性:なし (真島 剛) Lv.1 必要経験値:12
種族=人:男 12歳
【基礎能力】 【技能】
魔力:68
物理攻撃:24 ・剣術Lv.1 ・槍術Lv.1 ・弓術Lv.1
物理防御:34 ・棍術Lv.1 ・棒術Lv.1 ・槌術Lv.1
魔術攻撃:0
魔術防御:46 ・運命の加護…取得経験値上昇 状態異常耐性
敏捷性:33 ・女神のベール…隠蔽効果
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