第3話 王都移住
グレッグから学園の話をされて一か月。俺たち一家は王都リンバスへとやってきていた。
現在は季節でいう夏の半ば頃、四ノ月である。こちらの世界では4月から1年を数え始めるためだいたい7月くらいにあたる。
なぜこちらへときているか、それは俺に教師をつけるためである。
学園の入学試験は主に4つ。一般学・魔術学・武術の
魔術を習得して俺だけの☆必 殺 技☆みたいなのをやりたくはあったが、そっちに気を取られるとほぼ間違いなく不合格まっしぐらなので涙を呑んで技名を考えるだけにしておこうと思う。学園に通えば学ぶことができるようだし。
というわけで、俺には先週から一般学の講師がついている。
主に習っているのは算術、史学、言語学、生物学である。現代風にいうと算数、社会、国語、英語、理科といった感じだ。言語学は文字こそ違うものの言葉の意味や文法に関しては日本語と同じだし、算術に至っては足し引きに掛ける割るくらいの小3レベルなのでこれらは1日と経たずに学ぶことはなくなった。
史学はこの国ヒューズケインについてなので丸々覚えることになったが、建国からおよそ500年ほどの歴史しかないためそこまで難しくはなかった。
逆に一番苦労させられたのが生物学である。例えば牛、日本では昔は農業に近年では家畜として飼われていたがこちらの世界では違った。こっちのは木をなぎ倒したり、巨岩を破壊するのだ…。
前世の常識を引きずっている俺としては脳が理解を拒んでしまうし、ファンタジーなモンスターらの知識もこみこみだったので一般学の授業が終わるまでに1か月も時間がかかってしまった。最後の授業の別れ際、講師の先生は熱に浮かされたように
「1か月…このレベルのを…1か月」
とブツブツ呟いていたのがとても印象的だった。まるで短歌だな。
一方武術のほうだが…こちらは比較的特別なことは無く通常のスピードで技術を吸収していった。
ただ残念なことに十数か月ほどしか鍛えられていないため、まだまだ未熟で試験では及第点に届くかどうかといったところだ。まあ一般学の方で点を稼いでいればまず落ちないらしいので大丈夫っぽい。
そんなこんなで月日は過ぎて十二ノ月、1年の最後の月であり学園の試験の月がやってきた。
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