第2話 目的発見

 そんなわけで、無事に転生を果たした俺は一般家庭の平々凡々な子として生を受けた。

転生先は人間種、前世と同じ男児である。


「はぁ…はぁ…」


「リンダ、無事生まれたぞ!かわいい男の子だ」


 すぐ近くで聞こえてくる声のほうへと目線を向ける。

視力が低いため、ぼんやりとしかわからないが目の前で俺の顔を覗き込む二人が新たな父と母なのだろう。


「オギャー!オギャー!」


とりあえず、怪しまれない程度に泣いておくとしよう。



どうやら俺が生まれたのは、片田舎に住む新婚夫婦のもとみたいだった。父の名はグレッグ、母の名はリンダ、そして俺の名はカルマと付けられた。


 面白いことにこの世界、神々から名を貰うということになっているらしい。生まれて間もなくに教会連れていかれ、おいてあった水晶玉のようなものに浮かび上がった名をそのままつけられたときには驚いたものだ。

 なんでも神から名を貰うと、その名前が魂に刻まれるため名を騙ることができなくなるらしい。とても便利だが、じゃあどのようにしてやって名を確認するかというとそのたぐいの便利な道具があるらしい。

うーん異世界。

 幸い、こっちの世界にはカルマという言葉にこれといった意味はないようだった。業が深いというか業そのものな名前なのでそれに関しては異世界で助かったというものだ。名のつけ方といい色々常識が通用しそうにないのは助からないが…。


 

そうして俺は仲睦まじい我が両親から愛を受けながら成長し、12歳になった。転生あるあるのチートの発現みたいなものは無かったため、普通の子として適度に勉強をし、適度に運動をして、適度に成長をした。多少、年齢に見合わない利口な部分はあるがそれくらいは見逃してもらいたいものだ。

 そんなある日の夕食の後、いつものように読書を嗜んでいると父グレッグに呼び出された。


「なんの用でしょうか?父さん。」


「用というのは…お前ももう12になったし、今後についての話をしようとじゃな


 いかと思ってな。」


「今後…ですか?」


グレッグの言葉に首をかしげる。確かこの世界の成人年齢は17のはずなのだが…。それとも何かの都合で俺が働く必要が出てきたということなのだろうか?

 その様子から俺の困惑が伝わったのか、グレッグは話を進めてくれる。


「…ということだ。」


聞いた話を要約すると、この国では12になる子供に王都の学園なるものの受験資格が与えられるらしい。そこに合格することができれば将来はほぼ安泰なので国中の子供らがこぞって受験をするらしい。

 もし仮に不合格の場合でも地方の簡易学園みたいなところで学ぶこともできるらしいが通う子供は少なく、たいていは家業や様々な職の見習いとして研鑽を積むことが多いらしい。

 ふむ、異世界生活を満喫するならばここは学園に通う一択だろうが…


「聞きたいんですが、今から準備して学園に入れるのでしょうか?」


「そうだな、普通なら難しいだろうがお前は頭がいいからな。可能性は十分ありえ 

 

 るんじゃないか?」


そこを疑問形で言われると不安になってしまうが…まぁどうになるだろう。というかなってくれないと困る。


「分かりました。俺、王都の学園を受験したいと思います。」


「そうか!ならばすぐに明日からでも準備をしよう。」


笑いながら快諾してくれるグレッグ。我ながらよい父を持ったものだ。


さて目標は定まった。まず目指すは王都の学園合格である。

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