ギャル、異世界転移した。と思ってたらタイムトラベルだったらしい。未来が魔法の世界ってマジですか!?~過去に戻る為に予言の姫探してたら、いつのまにか黒幕凸して救世主になってました~
第48話 まっすぐ飛びなさい、燃やしちゃうわよ
第48話 まっすぐ飛びなさい、燃やしちゃうわよ
「ってか、ジンガ! 足!」
「……痛っ、思い出させないでくれ……」
喜び合う二人だったが、ジンガの折れた両脚を思い出してシオンが慌てる。
「どうしよう、応急処置……。回復魔法……? いや、私じゃ擦り傷くらいしか治せないし……、痛みを止めるだけでも……」
シオンが杖をふると、ジンガの足が光に包まれた。
「どう……?」
「……うーん、痛み止めの薬飲んだかな、くらいかな……。マシだけど流石にまだ痛い」
「あぁ、もう! 攻撃魔法ばっかじゃなくて、もっと回復魔法も練習しとくべきだった!」
シャルムで修行していた時は、アムレートの怪しい薬やイオンの治療に任せきりだったことを悔やむ。
「全く……、手のかかるお嬢さんだな……」
倉庫の外から様子を伺っていたらしいフジが、ふっ……と息を吐くと、白い煙がジンガの両脚を包み込んですぐに消えた。
「……何ッ!? まだ、こいつら意識あったの!?」
突然の魔法にシオンが警戒するが、男たちは意識を失ったままだ。
「待って……、よく分からないけど痛みがなくなったみたいだ……」
「え、なんで……? さっきの魔法、回復魔法ってこと……?」
「分からない。けど、立ち上がれないから怪我が治ったんじゃなくて、一時的に痛みをなくしてるんだと思う」
辺りを見回しても、人の姿は見つからない。
「誰の魔法だったんだろ……。ま、いっか。立てないなら、なんか箒の代わりになるもの……、おっ! あれでいっか!」
「正気なのか……!? そんなもので飛ぶなんて出来るわけが……」
「大丈夫、大丈夫! これなら飛べるって! だって、イメージばっちりだもん。ほら、乗って!」
シオンはそう言うと、倉庫の隅に立てかけてあったデッキブラシを手に取ると、ジンガを乗せて飛び立った。その後ろで、ジンガが信じられないという顔でシオンを見つめていた。
「君は……、本当に変なことを考えるな……」
「うーん。こればっかりは私だけじゃなくて、日本人なら皆やると思うよ? だって、空を飛ぶっていったら、箒かデッキブラシって決まってるもん」
赤い提灯で照らされる街を見下ろしながら、シオンとジンガは星空を飛んで宿へと向かった。
◇ ◇ ◇
二人が宿に戻ると、ボロボロのジンガの姿を見て、イオンが青ざめてまくし立てた。
「おかえり。買い出しを頼んだだけなのに、こんな遅くまでどこに行ってたの……って、その怪我……! どうしたんだい……っ!? ジンガ、とにかく君は早くそこに座って……!」
イオンはそう言うなり、テキパキと薬品を用意すると、迷いのない機敏な動きで治療を始めた。
「全く……。何があったのか、お説教は話を聞いた後にするけれど……、ある程度の治癒措置をネージュから一通り教わってて良かったよ……」
心配からくるお小言を呟きながら、薬品をジンガの足にかけると回復魔法を唱えた。薬品が緑色に光ると、ジンガが少しだけ呻き声を上げた。
「本職のネージュと違って、僕は医療魔法は専門外だからね。薬品で回復魔法の威力を補ってるだけだから、治療中は痛むかもしれないけど我慢してね」
心配そうに覗き込んでいたシオンに、塗り薬を手渡した。
「シオンは本当にすり傷だけなんだよね? それなら、この薬を塗れば痛みも傷もすぐ消えるはずだから塗っておいてね」
「うん、ありがと。ジンガは大丈夫……?」
「大丈夫だよ、僕が診ているんだから」
「……っ、良かった……っ!」
「でも……骨は折れていたわけだからね。普通の治療方法なら全治一ヶ月の大怪我だよ。本当に……僕が治せなかったらどうなっていたか……」
こっちの世界でも骨折を一晩で治せる医療魔法は、高度な技術になるらしい。イオンがいて良かったと、シオンは胸を撫で下ろした。
「一応言っておくけど……僕ならこれくらい治せると思って、無茶なことするのは駄目だからね?」
すぐに治るから怪我をしていいわけではない。
イオンはにっこりと微笑むと二人に釘をさした。
「はい。これでもう大丈夫。骨はくっついたし、痛みもないはずだよ」
イオンに言われて、ジンガが立ち上がって歩いてみる。
「ジンガ、本当にもう大丈夫、なの……?」
いつになく、しおらしい様子のシオンに、ジンガはため息をついた。
「はぁ……、見てのとおりなんの問題もないよ。それよりも、君の辛気臭い顔の方がよっぽど気が滅入るよ」
「なにそれ……っ、あんな大怪我してたんだよ、心配するに決まってんじゃん!」
「それが余計だと言っているんだ。いつもの君はうるさいけれど、笑ってない君の方が鬱陶しいからね。強がり、得意なんだろう?」
「……このっ、昨日は強がるなって言ってたくせに……っ!」
「ふんっ、僕はただ格好つけるなと言っただけだよ」
やいのやいのと言い合ううちに、シオンに笑顔が戻ってきた。その様子をイオンは何も言わずに見守っていた。
「……イオン、ありがとう。本当に助かったよ。貴方がいなければ、こんなにすぐ歩けるようにはならなかっただろう」
「どういたしまして。お礼はいらないから、次からはこんな怪我しないように気をつけてね。……それで、君たちに何があったのか、僕にも教えてくれるかな?」
シオンは自分たちの身に起きた事件のこと、ジンガがまた暴走状態になりかかって助かったことをイオンに話した。
「ジンガの暴走……か。体内にあった審判の飴の成分が完全に分解されているのは分かっている。暴走する前に何か変化は?」
「それは、その……僕の後ろにシオンがいて、ここで僕がやられたら次はシオンだと思ったら……意識が朦朧としてきました」
「シオンを守る為……」
「いや……っ、そういう訳じゃ……っ!」
「負けるわけにはいかない、という極限状態に反応したのかな。つまり……、一度暴走状態を体験している
そう言うと、イオンはジンガのカルテを取り出して何やら書き込みだした。
「ジンガ、少し魔力の測定をしてもいいかな? ……うん、やはり魔力量が以前測定した時より上がっているみたいだ。恐らく、後で測ればもう少し下がっているはずだから……暴走状態に入ると魔力が更に上がる仕組みみたいだね」
「それって、いい事……ですか?」
「うぅん、良くも悪くも、付き合い方次第かな。暴走状態は心身ともに悪影響しかないし、せめて理性が働いている状態で魔力だけ引き出せられるなら、悪いともいいきれない……かな」
そこだけ聞けば、強くなりたいジンガにとっては都合の良い話にも聞こえた。
「君が何を考えているのかは分かるよ。良い方向に持っていくことも可能だ。だから、
「……ぅ、ありがとう。お願いします……」
「うん、いい返事だね」
イオンに見透かされていることに気まずさを覚えながらも、ジンガは素直にお礼を言った。
「あれ? ところで……その襲ってきたという男達はどうしたんだい?」
「えっ、あー、早く逃げなくちゃってことしか考えてなくて……、倉庫にそのまま置いてきちゃった」
てへぺろ、と効果音がつきそうな仕草で、シオンが舌をぺろっと出してごめんね、と笑う。
「いや、笑い事じゃないよ! 本当に暴漢達をそのまま放ってきたのか!?」
声を荒らげるイオンがジンガを横目で見たが、そこまで気が回っていなかったのか、しゅんと
「今からでも然るべきところに連絡して捕まえてもらわないと……、
「奴らのことなら、俺が警備隊に突き出してきたから心配ない」
突然の第三者の声に驚いて、シオン達が宿の入口を振り返る。そこには、白いジャケットに白いハット、この国であまり見かけない風貌の男が扉に寄りかかって煙草をふかしていた。
「まぁ、この国で
どこからどう見ても目立つ側だろう男に、シオンは心の中でツッコミを入れた。
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