第34話 機械都市メカニカ
氷獣エリュシオンを倒したものの、戦場に残った黒い霧はゆっくりと凝縮され、一つの氷のコアを形作った。そのコアは青白く光り、不気味な冷気を放っている。
「まずい、まだコアを完全に壊しきれていない」
「待て! 逃がさない!」
レオは叫んだが、氷のコアは地面に影のような穴を作り、海中へと飛び込んだ。
「水中だと!? みんな、ついてこい!」
レオはすぐに魔法を発動した。
「《ウォーターブレス》!」
青い光が三人を包み、自由に呼吸ができるようになった。
氷のコアは、深い海の中を光の矢のように突き進んでいく。
「上に向かっている……?」
カイは不思議そうに目を細めた。
「何かが水面の向こうにあるんだ。急ごう!」
ジンが力強く水をかき分け、レオも炎の
やがて、青い水のカーテンの向こうに、揺れる光が見え始めた。水面を突き抜けた瞬間、三人の視界は一変した。
「ここは……!?」
見上げれば、空は赤く染まり、無数の煙突から立ち上る黒煙が太陽を隠している。地面は焼けた鉄で覆われ、至る所で蒸気が吹き出していた。
「熱い……!」
カイは思わず顔をしかめる。冷たい海から一転、灼熱地獄のような環境だ。
「機械の街……メカニカだな」
ジンが汗を拭い、金属の街並みを睨んだ。巨大な歯車が絶え間なく回り、蒸気エンジンが唸り声を上げている。
「氷のコアの反応がある……あの中央の塔だ」
レオは手のひらに炎を灯し、進むべき方向を指し示した。
「こんな熱さの中で、あの氷のコアが何をしようとしているんだ?」
カイは光の矢を構え、警戒を怠らない。
「この熱と冷気の相反する力……何か厄介なことが起きそうだな」
ジンは握った拳を強く握りしめた。
三人は焼ける鉄の大地を駆け抜けた。足元の金属板が熱く、靴底が焦げるような感覚がする。周囲の機械生命体たちは、ギギギと歯車音を立てながら無表情に三人を見つめている。
「気をつけろ、敵かもしれない」
レオは周囲を警戒しつつ、中央の塔を目指した。
塔の入口は巨大な鋼鉄の門で閉ざされていたが、レオは躊躇なく手をかざした。
「《フレイムバースト》!」
轟音とともに門が熱で歪み、崩れ落ちる。
「行くぞ、二人とも!」
カイとジンも頷き、三人は熱気渦巻く塔の中へと突入した。
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