第35話 メカニカの氷結

蒸気と炎が渦巻く灼熱の機械都市メカニカ。その中央にそびえる巨大な塔は、まるで空を突き刺すように立ち、無数の歯車が回り続けていた。


レオ、カイ、ジンの三人は、熱波に包まれる街を駆け抜け、塔の内部へと突入した。


「上だ! 氷のコアの反応が強くなってる!」


レオが叫び、階段を駆け上がる。壁の中を流れる蒸気管が唸りを上げ、熱風が吹き付ける。


やがて、三人は塔の最上階に到達した。そこには、巨大な機械装置が鎮座していた。金属製のアームやパイプが絡み合い、中心には空っぽの球体のような空間があった。


「氷のコアが……あそこに!」


カイが指さすと、青白く輝く氷のコアが機械装置の中央に吸い込まれていく。


「まずい、止めろ!」


レオが走り出すが、間に合わなかった。


カチリ、と不気味な音が響くと、機械全体が青白い冷気を帯び始めた。蒸気が一気に霜に変わり、鉄板には氷が広がっていく。


「くそっ、こんなところで……!」


ジンは拳を握りしめ、寒さに耐える。


「これ、ただの冷気じゃない……魔力を奪われる……!」


カイは震える手で光の矢を構えようとするが、魔力が凍りついたように動かない。


「《フレイムシールド》!」


レオは炎の壁を展開し、冷気を防ごうとするが、氷のコアの力はそれを上回っていた。炎はみるみるうちに青白い氷に閉じ込められ、周囲の金属パイプがパキパキと凍っていく。


「メカニカが……凍っていく……」


街全体に冷気が広がり、蒸気で動く機械たちは次々と氷の塊と化した。街の住人たちも冷気に触れた瞬間、凍りつき、まるで氷の彫像のように立ち尽くす。


「このままだと街全体が……」


ジンが絶望的な顔を見せる中、レオは必死に考える。


「機械に取り込まれた氷のコア……奴を破壊するしかない!」


カイも震える声で応じる。


「でも、近づいたら凍らされる……どうするんだ?」


レオは奥歯を噛み締め、炎の魔力を集中させる。


「炎と氷……相反する力なら、道を切り開けるかもしれない」


レオは拳に炎を宿し、凍りついた機械装置に向かって一歩踏み出した。


「みんな、援護してくれ! 絶対に、あのコアを破壊する!」

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