ひとつ星

@madder1

第1話

初めて出会った時、私はあなたが嫌いだった。

2個上だけどやけに偉ぶってて、その癖要領が良くて、仕事の合間にどこかに消えたかと思えば煙草の香りを連れて帰ってくるし。


3日分の荷物と共に行く長距離移動、出発すると決まってあなたは「夜が怖い」と口にした。

煙草をふかしながら呟くその姿がなんだか愛しくて、あなたに少し近付きながら「私がいるよ」と

何度も伝え続けた。


苦楽を共にした2年間、閉ざされた空間の中での肉体労働。笑いあって、怒られて、泣いて、泣かされて…あの日あの窓から一緒に見た夜空の無数の星々と、あなたの笑顔ずっと憶えているよ。

今はもう会うことはできないけれど、夜空を見上げるとあなたの声が聞こえる気がする。

「夜はもう怖くない、きみが見てるから」って。

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