颯爽と悪を蹴散らす正義の味方。その正体は、知らぬ者ない国民的少女アイドル。現代でこそそう珍しくもない設定だが、「パーマン」が生み出された時代にまず驚く。そして当レビュー筆者は、彼女と主人公の複雑な関係を、本論で初めて知ってさらに驚いた。これが、あの時代に描かれていたのかと。
彼女ほどの人気アイドルとなれば、当然ながら多忙の極みだろう。その上、仮面をかぶった正義の味方。だけど、「ありのままの、普通の女の子」でいられたのは、アイドルよりも正義の味方になっている時間ではないだろうか。彼女がありのままの女の子でいられる相手の男の子は、アイドルとしての彼女の大ファン。彼の目の前でこの仮面を脱いで見せたい気持ちと、絶対にできないという気持ち。乙女のジレンマ。そしてその後の、驚きの展開。…もう一度、この関係性が描かれた時代に驚く。「パーマン」は、かくも深くほろ苦いドラマだったのだ。教えてくださった本論に、思わずスタンディングオベーション。