サヨナラなんて知らないワタシ
天田れおぽん@初書籍発売中
第1話
風に揺れる白い骨
ワタシの噛んだ アナタの小指
首から下がるネックレス
ワタシの胸元で揺れる白骨
一歩踏み出すたびに 一歩踏みしめるたびに
跳ねては踊る アナタの小指
いつまでも一緒にいようねと 言った舌の根乾かぬうちに
ワタシの通帳 現金 貴重品
金目のものと一緒に消えようとしたアナタ
お金はどうでもよかったの
本当よ?
それは信じて
分かってくれたかどうかは分からないけれど
いま大事なのはアナタの気持ちよりワタシの気持ち
ワタシの胸元で揺れるアナタの小指
小指以外は今頃どこを漂っているのか
広い広い海の上
いえ 海の底かもしれないけれど
アナタは広い海にいる
ワタシは水を飲むたびにアナタのことを思い出す
ひとくち ひとくち 飲むたびに
アナタとひとつになるようで
ワタシの胸元で揺れる白骨
小指以外は流してしまった
水になればひとつになれる
あのときのワタシは どうして思ってしまったのか
アナタは漂う 広い広い海の上
もっともっとひとつになれる方法は あったはずなのに
サヨナラなんて知らないワタシ 天田れおぽん@初書籍発売中 @leoponpon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます