第4話

ここか…何も起こらないな。この部屋に来たときはミラさんに手を引かれて気付いたらこの部屋にいた。僕はこの部屋に来るにあたって特別何かしていないし、それは僕の目から見てミラさんもそうだった様に思う。そもそも各空間に行くためには許可が必要らしいが、一度も言っていない空間にこの状態からどうやって行くというのだろうか。移動の条件は許可と言っていたがそれだけとは限らない。僕は最初の空間で目覚めたからあの空間の許可も持っているのかと思っていたが移動の許可自体はなかったのかもしれない。それか生み出されたばかりの僕には出来ないことなのか…とそこまで考えてミラさんが戻ってくる前に椅子に座っていようかと振り返って「どう?頭の整理はできたかしら」そこには飲んでいたであろう紅茶のカップを置きこちらに微笑みかけるミラさんがいた。僕はぎこちなく笑みを浮かべて大丈夫だと答える。ここはやはり不思議な場所だと僕は再確認させられる。僕は知識がある状態らしいがここまでの状況で幾度も後れを取っている。僕のこの状態で常識も何もないがもっと慎重に行動すべきだったと自身を戒める。僕はミラさんの対面に座って平静を装う。

「…すみません。ちょっと部屋のことが気になっちゃって」

「あら、大丈夫よ。気に病むことじゃないわ」

そんなことよりも…と彼女は続ける。

「ひと休憩はできたかしら。流石にそろそろ話をさせてもらうわよ」

僕は頷き返事を返す。

「あなたには最初にも言った通りこちら側で選んだ存在にそれらが望む力を与えて欲しいわ。その際に条件がいくつかあるけど、初めに存在が望む力を与えること。次に強大すぎる力は与えられないこと。そして最後に、あなたが納得した力を渡すこと。一つずつ説明していくわ。一つ目のは簡単で与える力はその存在の願望を色濃く表すから、意思に反した力を与えると存在に不具合が生じるわ」

「そうなんですか?後不具合って具体的にどうなるのかとかって…」

「まあ、不具合といっても目で見てわかるかどうかはその時々なんだけど、単純に肉体が崩壊したり、思想や思考が強く捻じ曲げられてしまったりとかかしらね。とは言ってもそれ自体を望む場合はいいんだけど、意図せずなるのはこちらとしても困るって感じね」

「思ったよりも重大そうで今から不安になってきます…」

「大丈夫よ。慣れてくれば心配いらないと思うけど、始めはこちらでもサポートしてあげるから。そしたら次のだけどこれは最初のともかぶるけどあまりにも大きな力を与えるとその存在では耐えきれないことが多々あるからね。後は大きな力は世界のバランスを欠くことにもなるわ。最後のはあなたに直接関係することよ。あなたに最初に渡した球体あるでしょう。それを使ってあなたが力をイメージするときあなたの気持ちが不安定だとそれは力の出来にもかかわるし、またあなたの存在にも作用するわ。だから、あんまり気負いすぎるのも禁物って感じね。失敗したからって慣れていないあなたに責任を問うこともないのだからしたいようにやってみなさい。一区切りだけどどう?」

「まだまだ不安です。自分の存在にもまだまだ分からないことだらけで、でもまずはやってみようと思います」

「その意気ね。そうそう、あなたの仕事だけど決まった時間に行うとかはないわ。これからあなたの部屋に案内するけど部屋に備え付けのベルが鳴ったらそれもこの後案内する空間で力の付与を行ってもらうわ。取り敢えず部屋を見てみましょう」

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