第5話 作戦

放課後は再び作戦会議。


「3年6組探るより、あの場にいた軽音のほうを先に探る方が早いかもね」


閉じた空色のノートを自分の机に置きながらピンクのノートに書き込んでいく。


 軽音部

 3ー6 桜木先輩 

 1ー2 藤澤夕綺

 1ー1 奈良大成


「奈良にはバツ付けたいんだけど」

「私もそう思うけど一旦、ね。あのキャラで内面隠してる可能性もあるし」

「それはめちゃくちゃギャップ萌えだわ、好きになりそう」

「誰でもいいんかい」


七星が背もたれに身体預けながら

「なんかさあ」

と天井に言った。


「ん?」


「左利きの話したじゃん?」

「めっちゃ切り込んだよね」

「うん。なんとなくだけど、あの時さ。一瞬だけ“間”なかった?」

「私もそう思った。なんか心当たりあったのかな。左利きの人いるか訊いたのに、左利き用のギターの話しだしたし」

「そうなんだよね」


七星の身体が戻ってくる。


「もしかしたら奴らは“そら”を庇っているのかも」


おおいにありえる。


ノートが忘れられた可能性のある時間に音楽室を使っていた軽音部。

あの場に持ち込んでいるとすれば、周りの人間が持ち主を知らないという可能性は低い。


ノートをなくした。

でも拾った相手に中身を見られたら名乗り出るのは恥ずかしいので知らないふりをして欲しい。

という箝口令が敷かれていたのか?


「考えすぎかな?」


「いや。だってあの爆弾みたいな内容だよ?見つかる相手によっちゃこの先の高校生活ゾンビだよ」


「たしかに……。だとしたら、今日私たちの動きで相手にバレちゃったんじゃない?爆弾がこっちの手にあること!」


「興奮しすぎ。眼鏡曇ってる」


腕を組む七星をハラハラしながらみる。

私を透かして遠くを見る七星の口角がゆっくりとあがってきて、次第にふっふっふとさながら名探偵の笑みを漏らした。


「えっ、なになに!?」

「上等だよ、取り返しにかかってこいよぉ」

わぁー


「主導権は全部こっちが握ってんだよ、そっちがその気ならやってやるよ。絶対“そら”を突き止めてやんだ!」


七星に変なキャラ入っちゃった。


「中川芽実!」


「は、はい!」


「お前に軽音楽部への入部を命ずる!!!」



「えぇーーー」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る