第2話 ブルジョワジーの噛み跡

 線香花火が弾けるその脇に……浴衣の裾からのぞいたみゆきちゃんの白い太もも。

 そこにヤブ蚊が止まっているのに気が付いてオレは手のひらでパシリ!と叩いた。

 オレのにみゆきちゃんは小さく叫び声を上げ、その拍子に線香花火の玉は落ち……彼女はオレをめ付けた。


 オレは手のひらで赤く潰れた蚊を示して釈明したけれど……機嫌の直らないみゆきちゃんの白い太ももにはピンクのポッチが拡がっていった。

 それから1年も経たずに……みゆきちゃんの首筋には赤いポッチが付けられていた。


 それが……東京の大学へ行かせてもらったのに、自分が“ブルジョワジー”の出だと言う事を恥じて“革命”に被れた御曹司から付けられたものと知って……高三のオレは柔道部の後輩に稽古を付ける名目で八つ当たりをした。

 どうせオレは大学なぞ行けない“お家柄”で……頭より腕っぷしで勝負して来た輩だから、柔道部のOBから誘われるままに県警に入った。

 交番勤務時代、別のOBが機動隊で活躍してる様を間近に見て、感銘を受け入隊を志願した。

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