透明なプラスチックのフォーク
縞間かおる
第1話 拳銃と線香花火
『ライフルや散弾銃等の銃火器を使用する犯人に対しては、射角を考慮の上、拳銃で持って応戦すべし』
伝令を聞くまでもなく、明瞭な無線機の声がヘルメットを通して耳に届いた。
ようやく拳銃の使用許可が下りた!
『各人、装弾確認!』この場の指揮官である副隊長の声に、オレ達はホルスターから
『トリガーが引けるか確認しろ!』
グローブに付いた雪が凍る寒さだが全員問題なくトリガーは引け、シリンダーを戻したオレ達は雪をも溶かすくらいに上気した。
『必ず隊長の
オレ達がお互いを見た眼は、今朝、切れる様に冷たい水で顔を洗った時の鏡に映ったオレの眼!……目尻が上がって三白眼になっている。
2枚重ねにしたジュラルミンの大盾を左手に構まえ、撃鉄を起こした拳銃を右手にバリケードへの間合いを詰める。
さっきバリケードにぶち当たってオレ達の方が酷い目に遭った催涙弾のニオイがまだ残っている。 それは皮肉にも線香花火の匂いに似て……こんな土壇場のオレに遠い夢を見させる。
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