桃太郎
(ブラインドタイピングの練習で思い出しながら打ったので誤字脱字多数あります)
昔々あるところに、お爺さんとお婆さんがいました。
おじいさんは山へ芝刈りに。おばあさんは川に洗濯に。
お婆さんが川で洗濯をしていると大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。
お婆さんが桃を家に持ち帰り、包丁で割ってみると中から元気な男の子が出てきたではないですか。
養育者たちは男の子を桃太郎と名付け可愛がりました。
桃太郎が15歳の誕生日を迎えた日、桃太郎は言いました。
「おばあさん、お爺さん。隣の村を襲う鬼が住む鬼ヶ島へ鬼退治に行きたいのです。」
養育者たちは驚きました。しかし。子供のやりたいことに理解を示すタイプの親だったので吉備団子を3つ預けて旅に向かわせました。
道中で犬、猿、雉に出会い、みんな固定給1団子+出来高払いを条件に契約をしてくれました。
桃太郎一行が鬼ヶ島に着いたとき、鬼はベロンベロンに酔っていました。
「うわぁあなんかきたぞぉ」
赤面の鬼が金棒を持ち、桃太郎に襲い掛かりましたが、千鳥足だったので桃太郎を避け地面に転けてしましました。
そこに桃太郎が手持ちの刀で首をざっくり切りかかります。
それを見ていた鬼は命の危険を感じて逃げ出しました。鬼とはいつの時代も愚かなものです。つい数時間前まで人の命を奪い、金品を盗み、戦利品で宴をしていたと言うのに今は今まで襲った人間のように泣き叫びながら命乞いをしています。
桃太郎は冷酷な人間でした。同級生が30代の親を持っているにも関わらず、桃太郎は実の親がわからないまま、お爺さんとお婆さんしかいませんでした。
桃太郎は養育者たちが愛してくれていたことを知っていたので泣くことは我慢できましたが、裏では眠れない夜も多い、そんな青年へと成長していたわけです。
隣の村を襲う鬼の存在を知ったとき、これを倒して英雄になることで、あの日馬鹿にしたあいつも自分を認めてくれるのではないか。そう思った桃太郎の刃はなんの躊躇もなく鬼の首に振られていきます。
雉は島を逃げ出そうとする鬼の船を破壊し、猿は隠された財宝を取り返し、犬は桃太郎の背後を守ります。
全ての鬼を切り倒したとき、桃太郎一行の耳に赤ちゃんの泣き声が聞こえてきました。倒した鬼の子供でしょうか。角が二本不揃いにはえた赤ん坊が岩の影に隠されていました。赤ん坊以外倒してしまったが故、親はもういません。
桃太郎一行は無言のまま、取り返した金品を船に詰めて島を後にしました。
村に帰ってきた桃太郎一行は盛大に出迎えられます。村民に感謝と多くの金品を送られ、宴で酒を飲み酔った後、桃太郎は一人家へ帰ります。
今の自分はあの鬼たちがやったことと同じではないか。今、鬼に襲われたら抵抗もできないまま首を切られてしまうだろう。
後日、桃太郎が失踪したことで報酬が支払われないと思った犬、猿、雉が桃太郎を探していました。村の人たちも桃太郎を心配して探すのに協力しましたが一向に見つかりません。
それもそのはずです。鬼ヶ島に一人向かった桃太郎は赤ん坊が隠されていた岩の前にいました。あの日と同じように赤ん坊の泣き声が聞こえます。
桃太郎は両手で刀を強く握りしめ、赤ん坊の首に振り翳しました。そのとき桃太郎は初めて泣いたのです。
めでたしめでたし。
短編 ニニ @343_oisi
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