第8話 春夫
教室に戻ると、皆が俺を心配していた。
ヤンキー事情に詳しい解説キャラの田中が俺の元に飛んできた。
「山田! お前、、怪我は無いか?」
「大丈夫です、なんか落とし物を拾ってくれたみたいで、危ない事はありませんでした」
「よかったあ! 皆心配してたんだよ!」
「ご心配おかけしました」
「またなんかあったら言えよな! 祈るからさ!」
祈るだけかい。
放課後、下駄箱に着くと元番長が俺を待っていた。
「あに 太郎くん!」
あに太郎ってなんだよ。
「帰りご一緒します!」
「あ、はい」
「カバン!持ちましょうか!」
「いえ、結構です」
元番長が照れながらこっちをチラチラと見ている。
「あの」
「はい!あに 太郎くん!」
「敬語やめてもらえますか? 変な風に見られるんで」
「自分! 敬語が基本です!」
嘘つけい 貴様とか呼んでただろうが。
俺達はこんな感じで通学路を歩き、買い食いをしたり
道の隅に落ちていたエロ本の周りを行ったり来たりして
あの公園にたどり着いた。
「あ、公園寄ってっていいですか?」
「もちろんです!あに 太郎くん!」
あに太郎やめろや。
俺にはいつもの日課がある、公園のブランコに乗る事だ。
ブランコに乗って、夕日を眺める。
そうやってノスタルジアに浸るのだ。
俺達は2人でブランコに乗った。
元番長のデカさにブランコの鎖も悲鳴をあげている。
なぜだか、可愛げがあるなと思った。
そこに、ヤツが来た。
「おうおうおう! てめえはこないだのガキだなあ!」
春夫じゃん。
「あ、春夫君、、」
「よう光蔵ぅ、そのガキ締めたのかぁ?」
「いやぁ、、全く敵わなかったよ」
「そうかぁ、じゃあ2人で袋にしようやあ!」
「いや!春夫君!そんなことは出来ない!」
「ああ? 光蔵、、お前、誰に口聞いてんだ!? ああ!?」
春夫が元番長のボディーを殴りつける、あのバカでかい元番長の身体が軽々と浮いた。
「ううっ、、春夫君、、もうやめよう、あに 太郎くんには敵わない」
「うるせえぃ! この腰脱げがぁ! 立てコラ!!」
元番長が殴られ続ける、春夫の右アッパーが元番長の顎にヒットして、元番長は沈んでいった。
「よおぅガキぃ 次はお前だあ」
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