第4話 かもめ横丁
「もう12月、早いな〜今年ももう終わりだよ」
毎年この時期になると挨拶代わりにこれを言うのが定番の源さん、今年も予定通り言いました。
「ワハハハ、出たっ!源さん得意のヤツ、も〜そんな簡単に12月終わりにしないでよ」
「だなwいよいよ忘年会シーズン到来か」
桃子と源さんが、そんな定番のやりとりをしていると、珍しい時間にナミちゃんが来店して来た。
ナミちゃんはかもめ横丁という飲み屋街でスナックの雇われママさんをしている。
「あら、ナミちゃんこんな時間に珍しいわね」
「でしょ〜」
「今日はお店休みなの?」
「休みと言うか、わたし今プーだから」
「プー?って、仕事辞めたの」
「そそ、だから今はプーです。」
「え〜そうなんだ!」
驚く源さん
「あ〜源さん居た〜」
ナミちゃんはこの店ではもうすっかり顔馴染みの源さんの隣に座った。
「何で何で〜何か嫌な事でもあったの?」
興味深々の桃子
「うんん、そ〜ゆ〜のじゃなくて、これ」
そう言ってナミちゃんは左の手を照れくさそう上げて見せる。
「指輪…って、もしかして、ナミちゃん結婚するの!」
驚く桃子
結婚!指輪!そのワードに敏感になっているみどりもどれどれと覗きに来る。
「指輪!いいな〜」
ナミちゃんの隣でおでんを食べていた源さんが、こんにゃくを箸で持ち上げると
「こんにゃくゆびわ」
「ピィーピピィーーーー!」
みどりがつまらな源さんのダジャレにイエローカードを出す。
「ハハハッ、みどりちゃん厳しい〜wそういえばこの前横丁行った時だから先週の土曜日か、店の看板電気ついて無かったな〜」
「先月から閉めてる。もう古いでしょあの店、だから代わりの人も見つからないみたいで」
「そか、今はな〜…昔はかもめ横丁に店出せたら大したもんだって言われてたけどな〜」
「も〜時代は変わったね、横丁も今は空き店舗がポツポツあって寂しくなってきたよ」
「向いの店も空き店舗なの?改装してるみたいだったけど?」
「そうなの、びっくりしちゃった、みんなが店畳もうかって時にわざわざあそこで店始める物好きもいるの」
「へ〜大したもんだね!俺はそーゆーヤツ好きだよ、で、なんの店なの?」
「焼き鳥屋って聞いてるけど」
「焼き鳥か、いいね〜」
「名前が確か、変な名前だったんだよね…」
「変な名前?」
「そう、焼き鳥… 焼き鳥… 焼き鳥…コブラだ」
名前を思い出せてスッキリするナミちゃん
「コブラ、何でコブラ…漫画のコブラかな…」
考え込む源さん
「変な名前〜やっぱり変わり者なのねwww」
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