第3話 蛇拳

みどりがカウンターに置いてある鉢植えに水をあげていると、斜め向かいに座って酒を飲んでいたイケメンの新ちゃんの動きが気になる。


新ちゃんは正面にあるTVを見ながら腕を直角に曲げて指先を動かしている。


「新ちゃんってダーツやるんだ」


「ダーツ?」


「その動きはダーツでしょ」


みどりの言っている事にようやく気がつく新ちゃん


「ああ、これ、違うよ、ハハハッ」


「じゃーなんなの?」


「コレは高い所から塩をふる練習」


「何それ、アホくさー」


「そうかな、これカッコよくない、店でやってみよっかなー」



今度はみどりの方を向いてやって見せる新ちゃん


「フッ、やめてよ」


「なんで?」

そう言いながら立ち上がった新ちゃんは背が高く手足が長い


「どお?」

新ちゃんはみどりの頭の上に高い位置から塩をふる真似をする。


「もーやめてってw」


面食いのみどりはイケメンの新ちゃんにからかわれて楽しそう


そんなじゃれ合う2人を見ていた桃子が

「ホント男ってアホだよね、見たら直ぐ真似したくなったゃって」


桃子に言われて納得する新ちゃん

「ハハハッ、それは言えてる。テレビ見た後よく真似してたな〜ジャッキーチェーン」


「えっ!新ちゃんってジャッキー世代じゃないでしょ」


みどりが自分より遥かに若い新ちゃんの言葉に驚く


「ジャッキーに世代あるの?好きで見てたよ、子供の頃、蛇拳とか」



「それはジャッキーの中でもまあまあ古い方のヤツだよ!」

更に驚くみどり



新ちゃんは子供の頃にテレビにかじりついて見て覚えたという蛇拳の手の動きを2人に披露する。


「ハハハッ、上手い上手い、ジャッキーチェーンみたい」


「ハハハッ超ウケるんですけどwww」

ウケまくるみどり


桃子がその動きを見ていて

「新ちゃん蛇拳しながら塩ふってみれば」


「フン、フン、ハッwww」


パラパラ、、、


リクエストに答えてやってみる新ちゃん


「どお?」


「ククククッw新ちゃんもう勘弁して腹痛www」

ツボにハマりまくるみどり


「これ、いいね!今度店でやってみよ」


そう言い残して上機嫌で帰って行った新ちゃん




「みどり〜ところで新ちゃんって何の仕事してるの?」


「知らな〜い」


「そうなの、不思議な人だよね〜」

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