病者への詩

枕川 冬手

びょうしゃ

私だと思っていたものは


誰かが描いた光の反射だった


きみだと思っていたものは


歪んだ私に映った影像だった


コップはリンゴかもしれないし


きみは知らない誰かなのかも。


知らない、何も知らない


嗤うか、じゃあ貴方は何か知っているのか?


なぁホレーショを説いた青年よ


君は天壌ではなく、石ころで書くべきだった


君は古今ではなく、枯れ草で書くべきだった


  雨、絶え間なく


  私を打つ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

病者への詩 枕川 冬手 @fuyute-shinkawa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ