第3話
「探索者……つまりロサちゃんと同じ仕事ですね?」
「そうですね」
「ならやります!」
「即決ですね、一応他にも案はあったんですけど」
「でもロサちゃんはそこで働いていないいんですよね?」
「ええ、まあ働いてませんけど?」
「なら、一考の価値もないですね」
「えっと……私基準で物事を考えすぎでは?」
「わたしにとってはロサちゃんが全てに優先されることなので」
「そ、そうですか」
私とカラットは探索の準備を整えギルドに向かった。
「ところでロサちゃんが普段探索している浅いところには金目のものなんてないと思うんですけどどうやって収入につなげるんです?」
「浅い場所でもモンスターの素材はお金になるんですよ。探索者の装備とかが主な感じですね」
「なるほど。みなさん個性的な見た目をしていたのはそういうわけですか」
「着きましたよ。ここです」
「大きい建物ですね-。なんていうかその日暮らしの人たちのたまり場みたいですね」
「私もその一人なんですけど……まあいいや。中に入りますよ」
「あ、待ってください」
ギルドに入るといつものように喧噪に包まれていた。よく見る人もいれば新人らしき人もいる。当たり前だがこちらに見向きもしない。しかしカラットが入るとその喧噪が少し収まり値踏みする目に変わる。新人へ向けられる特有のものだがカラットへの視線は妙に多い気がする。
「カラットさんこっちです。受付嬢さんお願いします」
「あ、はい。えっとカラットです。冒険者登録しに来ました」
「冒険者の仕事内容について説明は必要ですか?」
「あ、お願いします。一応ロサちゃんの仕事は何度か見たことがあるのでなんとなくは把握していますが詳しくは……」
「では説明させていただきますね。冒険者……この街では探索者の方が一般的ですが主にダンジョンのモンスターを討伐していただきその素材をこちらで買い取らせていただきます。また下層に行くほどマジックアイテムが発掘される場合がありますがそちらは我々主催の競売に出品していただくと落札値の9割があなたのものです。あと受ける人は少ないですがクエストボードにあるクエストを受注してもらい達成した場合は依頼書ごとに書かれている金額をお支払います。何か質問はございますか?」
「いえ何もございません。わからなくなったらロサちゃんに聞いてみますね」
「わかりました。ではこちらに名前を記入してください。それと入会料金は」
「あ、私が払います。カラットさんいつか返していただければいいので」
「ありがとうございます。あとはこちらの書類に必要事項を記入いただいて」
「はい。えーと……ロサちゃんわたしって職業なんて書けばいいですかね?」
「魔術師ですね。というかそのために私のローブ貸したんですけど」
「あ、これそういう意味だったんですね」
カラットが出会ったときに着ていた服はあまりにも戦闘には程遠いものだ。だから見た目をわかりやすくするためにもローブを貸した。まあ私との身長差の関係で丈が短すぎて不格好になるはずだが彼女は難なく着こなしている。
その後の手続きは特段つまるところもなく終わった。
「ではこれで冒険者登録は終わりです。冒険者カードはこちらになります一応身分証にはなるのでなくさないでくださいね。またパーティーメンバーの紹介も受け付けていますので気軽にお声がけいただければ」
大事そうにカードをしまうと私の方に向く。
「パーティーメンバーですか……とりあえずはロサちゃんと二人きりですかね。不束者ですがこれからよろしくお願いしますねロサちゃん!」
「ではパーティーはそちらのロサさんと二人きりということで登録しますね……あら?」
「えっと……どうしましたか?」
「うーん、こうなりますか……」
カラットとパーティーを組んだのはいいがそこそこ重大な問題に直面してしまった。
「後衛それも魔法職二人のパーティは認められないのは残念です……」
パーティー登録の用紙を手にし机に突っ伏すカラットを横目に見ながら私は思い出す、通常探索者パーティーというのは3~6人で組まれるものであり、私がカラットに助けられる以前のパーティーも5人で組まれたものだった。2人でのパーティーというのは前例がないわけでもなく申請すれば通るものであるはずだが、前例のパーティーのすべてがが前衛と後衛または前衛二人組であるパターンで後衛二人組のケースがなかったために安全面の問題から認められなかったのだ。
「実績があれば認められるかもしれませんけどね。例えばダンジョンの下層に行けたりする人とか。まあ無理に二人で組む必要もありませんし募集をかけてみますね」
「そうするしかないですよねー。ロサちゃんと二人きりで過ごせるいい機会だと思ったんですけど……」
「ああそうだ。仲間の募集の方法どうします?」
「募集ってそんな種類を問うようなものでしたっけ?こう名簿を見て呼び出ししてパーティーメンバー決定!みたいな感じのを想像してたんですけど」
「えっとそれはマッチング形式ですね。それも一つの方法ではありますけど、大まかなには二つあるので説明しますね」
「よろしくお願いします!ロサ先生!」
「あはは……私に先生と呼ばれるほどの学はありませんよ。まず一つ目は私たちが誰かに声をかけて仲間になってもらうスカウト形式。もう一つは大雑把な条件を決めて受付嬢さんにそれを提出して一番近い条件の人をギルド側から紹介するマッチング形式。今回はカラットさんの収入のために手っ取り早く見つけたいのでマッチング形式の方を使いますが要望はありますか?」
「うーん、男の人は無理ですね。それ以外はロサちゃんのおまかせで」
「男性の方が頑丈だし前衛向きだと思いますけど?」
「いやぁわたしたちがギルドに入ってきた時気づきました?ロサちゃんに色目を使ったんですよ、ロサちゃんを怖がらせないために何も言いませんでしたが男は狼って言いますし絶対に反対です」
多分それはカラットへの視線だと思う。妙に多いなと思ったが色目か。そんなもので人を判断するのはあまり関心しない。
「では、前衛を務められる人で女性の方募集ってことでいいですか?条件は緩い方が見つかりやすいですし」
「ではそれで!」
自称ダンジョンの主は私に殺されたい……らしい 七夕茸 @tanabatakinoko
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